第28話 無礼者
彼らと決別した後、俺は森の奥へと歩いて行った。このサバイバルを終わらせるために辺りに人がいないか探しつつ、花音の能力についてアイディアを考えていた。
「おい、もう人はいないんだからいい加減僕の話を無視するな!」
花音の能力である
俺の耳があれば多少遠くで鳴ったとしてもわかるため、かなり俺と相性がいい。
「おい!貴様舐めてるだろ!いいか?僕のおかげでその能力が扱えるんだぞ!それだけじゃない!アニマもだ!貴様なんかが他よりアニマを使うのが上手いのは僕のサポートあってこそ!本当だったら貴様は崇める立場なんだぞ!」
花音……俺が初めて殺した人。もう二度と会うことはない…………そう思うと胸が苦し────
「このアーマト様を無視か!酷いぞ!僕が何したって言うん─────」
「だぁぁぁぁぁ!!!うるっさいんじゃクソガキ!こっちは初めて人を殺した挙句仲間裏切って色々しんどいんだよ!そのアホ毛引っこ抜くぞ紫ピクミン!」
流石に無視しようにも限界が来たため俺の怒りをぶつけてしまった。怒りというよりも花音を殺したことでの精神的苦痛をこいつにぶつける。ほぼ八つ当たりだ。
クソガキ言われ最初はぽかんとしていたが、だんだん顔が赤くなってきた。
「クックソガキ!?お、おま、お前!僕に向かってクソガキだと!?この無礼者!確かにしつこかったかもしれんが……速く言わないといけないことがあるんだ!」
目の前でフワフワと浮いているクソガキは、花音の話曰く俺の能力である『骸の王』の化身みたいなものらしい。にわかには信じ難いが、花音を殺したタイミングで出てきたため、嘘ではなかったようだ。
「それで……話したいことってなんだよ」
どうせ自分語りでもしたいんだろう。と、思っていたら予想外なことだった。
「左の方に4人隠れている。何かしらの能力で音は聞こえんが……確実にいる」
「……もっと早く言えよ」
文句を言うと、アーマトの叫び声が響いた。
「お・ま・え・の・せ・い・だ!!」
(音が聞こえないとなると、雫を使うか……)
指先に集中し、雫を使う────はずだった。
「待て、雫を使うのは危険だ。あっちはまだこちらに気づかれたことに気づいていない。それでこっちが何かアクションを起こすと逃げられるぞ」
雫を使おうとした俺をアーマトが制止する。確かに的を得た発言だったため、俺も同意し雫を落さなかった。
(こいつ……慣れてるのか?)
能力の化身といってもついさっき生まれたわけではないのかもしれない。もしかしたら、こいつは……
「何をボサっとしている、どうするんだ」
アーマトについて考えている、なんて言えるわけがなく適当に誤魔化す。
「人数はわかったけど、正確な場所が知りたいな……」
流石に場所がわからないと策の試しようがない。ここからどうするべきかと悩んでいると、アーマトから救済の処置を施された。
「ざっと20m……あのでかい木の後ろだ」
「そんなことまでわかるのか?」
「これは僕のアニマ技術あってこそ!貴様もアニマを極めればバレずにできるぞ」
こいつ本当に凄いな……素直に褒めてしまう。自分にはない力を羨ましくも思う。
「というか場所が分かってどうす───」
「─────流星群」
アーマトの問いを無視し、敵がいるであろう場所に最高火力をぶつける。木に直撃し、爆発音が聞こえた。辺りは粉々となり人がいたかどうかも分からない。
─────『消音』を殺しました
─────『隠密』を殺しました
─────『鎖』を殺しました
─────『カウントダウン』を殺しました
人がいたかどうかは、殺した後に聞こえる声を頼りにしている。何故か人を殺すとその人の名前ではなく能力名で殺したことがわかる。
「あーあ、4つもログが溜まったぞ。人を殺すのにも随分と手慣れてきたじゃないか」
「いいだろ、もう既に仲間を殺してんだぞ」
花音を殺す時に比べたら、別にそこまでしんどいとは思えなかった。能力の影響なのか……元から俺という人間が薄情なのかなは分からないが、今の俺には丁度いい。
4人殺したことで一気に増えたアニマを抑え、『隠密』と『消音』で気配を消しつつ、人間を探す。
───このゲームが終わるまで、残り3日。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます