概要
あなたの翼が開くとき
妖怪譚 ―「あんからおん」
和光は、いつのまにか夢の底へと沈んでいた。
それは眠りというより、意識がどこか別の層へ滑り落ちていくような感覚だった。足元の感触はなく、ただ、音だけがあった。
「……ん」
どこからともなく響く、かすかな終止の音。
その音に導かれるようにして、和光は気がつくと、長く続く回廊の中に立っていた。
回廊は薄暗く、壁は黒とも白ともつかない曖昧な色でできている。だが奇妙なことに、そこには無数の「声」が漂っていた。
「あん……いん……うん……えん……おん……」
終わりの音だけが、形を持たずに浮かび上がる。
いや――違う。
それは、やがて形を持ち始めた。
最初に現れたのは、「あん」だった。
それは柔らかな布の
和光は、いつのまにか夢の底へと沈んでいた。
それは眠りというより、意識がどこか別の層へ滑り落ちていくような感覚だった。足元の感触はなく、ただ、音だけがあった。
「……ん」
どこからともなく響く、かすかな終止の音。
その音に導かれるようにして、和光は気がつくと、長く続く回廊の中に立っていた。
回廊は薄暗く、壁は黒とも白ともつかない曖昧な色でできている。だが奇妙なことに、そこには無数の「声」が漂っていた。
「あん……いん……うん……えん……おん……」
終わりの音だけが、形を持たずに浮かび上がる。
いや――違う。
それは、やがて形を持ち始めた。
最初に現れたのは、「あん」だった。
それは柔らかな布の
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