概要
剣は持たない。白紙一枚で帝国を獲る。
十一の夜に毒を盛られてから、少年は自分の目で確かめた水しか飲まない。
ロンベルグ帝国第五皇子エルンスト。
旗もなく、迎えもなく、荷を自ら担いで士官学校の門をくぐった。
与えられたのは日の射さない部屋と、誰も欲しがらなかった三十九人。
属国の血を引く末子に、帝国は水一杯の信頼も与えなかった。
だがこの少年の目は、人の体が漏らす言葉を読む。
衛兵の重心に古傷を、帳簿の消し跡に嘘を、そして座り方ひとつに忠誠と裏切りの境を見る。
壁に白紙を貼った。事実と数字だけを書いた。壁は四度消された。
合法の条文だけを刃にして末子を潰す官僚機構が、思考ごと壁から剥がしにかかった。
少年は四度書き直した。
鉄冠は重い。
……だがその重さを知る者の頭にしか載らない。
ロンベルグ帝国第五皇子エルンスト。
旗もなく、迎えもなく、荷を自ら担いで士官学校の門をくぐった。
与えられたのは日の射さない部屋と、誰も欲しがらなかった三十九人。
属国の血を引く末子に、帝国は水一杯の信頼も与えなかった。
だがこの少年の目は、人の体が漏らす言葉を読む。
衛兵の重心に古傷を、帳簿の消し跡に嘘を、そして座り方ひとつに忠誠と裏切りの境を見る。
壁に白紙を貼った。事実と数字だけを書いた。壁は四度消された。
合法の条文だけを刃にして末子を潰す官僚機構が、思考ごと壁から剥がしにかかった。
少年は四度書き直した。
鉄冠は重い。
……だがその重さを知る者の頭にしか載らない。
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