第49話

令和の爺ちゃん剣士、幕末で無双してました〜竹刀一本で新選組を圧倒〜

第49話 再び交わる刃

夜の京。

炎は弱まりつつある。

だが、熱気は消えていない。

会合所の前。

瓦の上。

二つの影が向かい合っていた。

源蔵。

そして――天城。

風が吹く。

灰が舞う。

静寂。

誰も動かない。

その下で、

土方歳三と

沖田総司が見上げていた。

「……始まるな」

土方が低く言う。

沖田は笑わない。

ただ、じっと見ている。

屋根の上。

天城が口を開いた。

「変わったな」

低い声。

仮面の奥から。

源蔵を見ている。

源蔵は短く答える。

「ああ」

それだけだった。

だが。

迷いはない。

天城が続ける。

「前とは違う」

静かな言葉。

そして。

わずかに腰を落とす。

構え。

居合。

空気が張り詰める。

源蔵も、竹刀を構えた。

無駄のない姿勢。

静かで。

鋭い。

次の瞬間――

消えた。

天城の姿が。

――シュン!!

空気が裂ける音。

抜刀。

一閃。

前回と同じ。

だが――

今回は違った。

源蔵が動く。

最小の動き。

半歩。

横へ。

――ギィン!!

刃がかすめる。

完全には当たらない。

流した。

そのまま――

――バシン!!

竹刀が走る。

天城の腕へ。

当たる寸前。

天城が体を引く。

かわす。

だが。

わずかに遅れた。

仮面の奥の目が細くなる。

「……見えるか」

低い声。

源蔵は答えない。

ただ、踏み込む。

速い。

無駄がない。

――バシン!!

一撃。

さらに――

――バシン!!

二撃目。

天城が後ろへ下がる。

初めて。

明確に距離を取った。

下で見ていた沖田が、わずかに目を見開く。

「……さっきと別人ですね」

本気の声だった。

土方も笑う。

「化けやがったな」

短く言う。

屋根の上。

天城がゆっくり息を吐く。

「いい」

小さく言った。

そして――

再び構える。

今度は低く。

より鋭く。

空気が変わる。

次の瞬間。

連続の抜刀。

――シュン!

――シュン!!

――シュン!!!

三連撃。

異常な速さ。

だが――

源蔵の体が動く。

最小の動き。

受ける。

流す。

かわす。

――ギィン!

――ギィン!!

火花が散る。

その中で。

源蔵の竹刀が走る。

――バシン!!

天城の肩を打つ。

鈍い音。

確かに当たった。

天城が一歩、退く。

沈黙。

ほんの一瞬。

そして。

天城が笑った。

低く。

静かに。

「いい……」

その声。

初めて。

本心だった。

源蔵は構えたまま。

動かない。

風が吹く。

灰が舞う。

二人の間に、静寂が戻る。

だが。

次の瞬間。

天城の気配が変わった。

重い。

深い。

底が見えない。

沖田が小さく呟く。

「……来ますよ」

その声に。

土方も頷く。

屋根の上。

天城が言った。

「ようやく」

ゆっくりと。

「始められる」

低い声。

源蔵が竹刀を握り直す。

静かに。

そして――

構えた。

次の一撃は。

これまでとは違う。

本当の戦いが。

今、始まろうとしていた。

(続く)

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