ぬいぐるみロボットの中、電気を運ぶ一本の道だった「銀」。そんな無機物の視点から、人間との交流と別れを描いた、珠玉のファンタジーです。持ち主から向けられた「ありがとう」という言葉が、物質の中に熱として、記憶として蓄積されていく描写が実に美しい。形を失い、土に還り、成分へと分解されていく過程ですら、愛された記憶を抱きしめ続ける「彼」の姿に、読者は自身の忘れていた大切な感情を呼び起こされるはずです。
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