第10話 最強の本領発揮と新たな友達

こっそりと人間の元へと移動する。モンスターなので、怪しまれることはないがな。


周りを見渡してモンスターがいないことを確認する。

「よし、これでこいつを連れてかえれば…」

俺が人間に手を伸ばした瞬間、何者かに腕を掴まれた。

「っ!?」

そのまま地面に投げつけられる。

「利闇君さぁ…俺様の"能力"忘れちまったかぁ?不用心だねぇ。」

"能力"今更ながら説明すると、それは人間もモンスターも一つずつ持っている独自の技のようなものだ。例えば、俺の場合は"知っている魔法を使うことができる能力"だ。ちなみに魔法は能力とはまた違う。人間のみが覚えることのできる技だ。(…知能持ちのモンスターなら覚えられるかもだが。)そうして、こいつの能力は確か…

「…カミックは物に化けることができる能力だったよな?それなら、一応確認したはずなんだが。」

「いいや、惜しいなぁ。俺様の能力は"どんな場所にでも隠れられる能力"だよ。知らなかったかぁ?」

…なるほど、勘違いをしていた。カミックは物に化けていたのではなく、元々あった物の中に隠れていたのだ。人間がやって来そうな物の中に隠れていた方が奇襲が成功しやすいだろうからな。そして、今は地面の中にでも隠れていたんだろう。

「さぁて、これで戦わないといけなくなったなぁ!モンスター軍"幹部"の俺様に勝てるかなぁ?」

「…チッ、仕方がないか」

俺は構える。カミックは余裕そうな顔をしている。

勝てるかは分からんが、人間の町で暮らす以上、こういう戦いには慣れておかないとな。


そうして、俺は電撃を放つ。カミックはそれを避けながら距離を詰めてくる。

「…なら!」

氷魔法で壁を作る。カミックは目の前に出てきた壁を壊した。…その隙を狙って闇の魔球を放つ!

「よし、これなら…!」

しかし、魔球があたる直前、カミックの姿が消えた。なに…いや、そうか、能力でどこかへ逃げ込んだのか。この辺りで隠れられるのなんて地面の中ぐらいしかないよな、なら…

俺は地面に向かって光球を放つ。しかし、地面は多少凹んだだけだった。

「…っ。火力が足りない。」

カミックは俺の背後の地面からいきなり現れて俺を攻撃した。それを俺は雷魔法を身にまとって高速で回避。続けて攻撃を放つ。

しかし、またもや能力で回避されてしまった。…ジリ貧だが、カミックからしても俺を倒すことは難しい。なら、勝てる可能性はいくらでも…

「おぉーい。ストライム君よぉー、きてくれないかなぁ。」

マズイ!ストライムが来て、2対1になったら流石に勝てない…!

俺は焦りながらも、カミックを口封じしようとする。

「利闇君さぁ…焦りすぎじゃないかなぁ。」

「ぐっ…!」

しかし、その隙をつかれて攻撃を一発もらってしまう。

「カミックどうしたのー?…って、えー!?2人とも、なんで戦ってるのー!?」

ストライムが来てしまった。

「こいつがよぉ、俺様がもらう予定の人間盗もうとしやがった。動機も説明せずよぉ。悪いこと企んでるに違いねぇだろぉ?」

「利闇が?ぬ、盗みは良くないよー!なんでこんなことしたの?」

「それは…」

なんとか説明して分かってもらうしかない…

だが、俺が話そうとするのをカミックは遮って言った。

「とにかく手伝ってくれよぉ、雑魚のスライムでも、お前なら多少は俺様の役に立てると思うからさぁ。」

「う、うんわかった!」

そうしてストライムは困惑しながらも戦闘に加わる。ストライムの能力は"硬度を変えられる能力"。ダイヤモンドのごとく硬くなることもできれば、液体レベルに柔らかくなることもできる。移動が遅いことが弱点ではあるが、2対1のこの状況だと、勝つことが不可能になるレベルで強い。

…それに、ストライムには正直攻撃したくないしな。

カミックを狙って光球を放つも、避けられてしまう。その隙にストライムに攻撃される。

「くっ…」

マズイ状況だ。…いや、まて。ストライムの攻撃が弱くないか?いつもなら、硬度を固めてから攻撃するのに、今は硬度を変えずに攻撃をしている。

「なにしてるんだぁ?ストライム。本気で戦えよぉ〜!」

「う、うん」

よくわからんが、本気を出してこない今がチャンスだ!

攻撃を避けることに力をいれて、2人に向けて話し始めた。

「俺は今、人間の町で暮らしている…!」

「えっ!?」

「なんだとぉ?」

「俺は今日、森ではぐれてしまったこどもを救い出してほしいっていう頼みを受けてここに来たんだ。」

「へっ、モンスターが人間と仲良くするなんて最低だなぁ。お前は裏切り者だぁ!」

「聞いてくれ!いい人間に出会えたんだ…モンスターの俺と友達になってくれた人間、モンスターの俺に料理を教えてくれた人間。他にもいい人間がたくさんいるかもしれない…モンスターと人間の共存のきっかけが見つかるかもしれない!だからいろいろな人と関わっていきたいんだよ!」

「…いい人間さんかー!ボクも友達になってくれるのかなー?」

「…!ああ、きっとな。」

ストライムもきっと人間と仲良くしていけるはず…と言おうとしたが、遮られた。

「おい、騙されてるだけだぞ、あいつはお前に俺様を倒すのを手伝ってもらおうと嘘をついているだけだ。」

「えっ?そうなのー?」

うっ…カミックがいる限り、ストライムを説得するのは難しいか?

「そもそも、人間はモンスターと違って生きてちゃだめな存在なんだ。魔王様にも'人は殺せ'ってそう言われているだろぉ?」

「でもでも、みんなが仲良くなれるならそっちの方がきっと楽しいよー!利闇、そうなったらさ、人間さん達とたくさん遊べるでしょー?(^∇^)」

「ストライム…!ああ、きっとな!」

…ストライムは楽しいことが好きだ。好きな鉱石を食べること、じゃんけんをすること、俺が昔見た本の話も目を輝かせながら聞いてた。ただ、モンスターには知能がないやつがほとんど。だから、一緒に遊ぶ友達がもっと欲しいって、そう言ってたっけ。

…知能持ちでストライムと知り合いなのは俺とカミックぐらいだからな。だからこそ、カミックの取引を続けていたんだろう。遊んでくれるかもしれない友達との関係が切れないように。俺はこの場所にはたまにしか来なかったしな。

そう考えると、もうちょっと遊んでやった方がよかったかな?などと俺は考えていた。

「分かってねぇやつだなぁ、魔王様のためにも…分からせてやらないとだなぁ!」

…!カミックは斧を取り出して、ストライムに攻撃する。ストライムは俺の方を向いているから、気づいてすらいない…

俺は雷魔法でストライムのそばに移動し、ストライムを守ろうとした。

「えっ…利闇?」

俺は武器の耐性がほとんどない。いつもは避けるからいいが、これはマズイかもな…

そうして、俺は斧に切られ

…ることはなかった。むしろ折れていた。

「遅くなって悪い、利闇の位置は分かっていたのに。…ある男の対応で忙しくてな。お前が無事で良かった。」

俺の目の前に立っていたのは…

「富美…!わざわざ助けに来てくれたのか?」

「当たり前だ。友達になってくれる代わりにお前を守ると約束したからな。むしろ遅すぎたぐらいだ。」

…富美が来たならもう大丈夫だな。

俺は振り返ってストライムに聞く。

「…あの人間、連れて行っていいか?」

「…うん!守ってくれたお礼だよ!利闇カッコよかったー!」

「おい、その人間は俺様のものだぞ!」

「そもそもボクが連れてきた人間さんだよ!カミックの物じゃないよ!」

「なら、力づくで…」

「それは無理だな。富美が来たから。」

「ああ、私に任せろ。一瞬で片付ける。」

「はっ、誰だか知らんがなめるなよ、ッ…」

カミックは地面に潜り込んだ。

「そいつは地面に隠れることができる。だから、地面の中にいるぞ。」

「なるほどな。」

地面の中に攻撃が届くことはないだろう

…富美じゃなければ。

ドゴォーン!!

「ぐはっ…」

地面に巨大なクレーターを作った富美のパンチで一瞬で決着はついてしまった…


「ちなみに生きてはいるから安心するといい。」

「良かったー!」

カミックは気を失っているが、生きてはいる。富美の優しさだろう。なんでこういう時だけ力加減ができるのか分からない…

「攻撃されかけたのに心配するなんて、やっぱりストライムは優しいな。」

「利闇が守ってくれたから!それに、その利闇も無事だしー!ってか人間さん、めちゃくちゃ強かったー!すごーい!」

「私は最強だからな!…それと、私の名前は富美だ。よろしく。」

「よろしくー!」


子供は富美が抱えていくことになった。

「まさか、私が対応していた暴れていた男がこの子の父親とはな。母親が私の元へ来た時は話を聞いてびっくりしたぞ。」

「たまたま繋がってたな。ま、おかげでなんとかなった。」

「あとは、家族で話し合って解決すべきだろうな。」

そうだな。何かあれば手伝えばいいし。

「…よし、じゃあまたな。ストライム」

「えっ?何言ってるのー(˘・з・˘)利闇!」

「え?」

「ボクもついていくよー!富美さん!お友達になろー!」

「えっ、いいのか!?」

「うん!人間の町も楽しいことたくさんあるでしょー!だから、ついてく!」

「…モンスターを受け入れてくれる人間ばかりではないぞ。いいのか?」

「いや、友達になってくれるなら全然かまわん!(*゚▽゚*)」

「富美に聞いたんじゃなくてだな。」

「ボクは大丈夫だよー!受け入れてくれなくても、少しずつなかよくなればいいし!」

「…はっ、やっぱお前すごいや。」

「えー?ボクすごいー?」

「…ああ、すごいよ。ま、これからもよろしくな!d( ̄  ̄)」

「私もこれから友達としてよろしく!^ - ^」

「よろしくー!(・∀・)」


こうして屋敷にモンスターが1人増えた。


「…屋敷に1人増えたか。この感じはスライムだな。…私の役に立つかは能力次第だな。

…くれぐれも、あの2人の邪魔にならなければいいが。」

店長は不安に思っていた。

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最強の元で過ごす知能持ちモンスター @riyami

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