私は敏感な方ですが、読者の繊細な感性に対応したストーリー展開が苦手な方だという矛盾があります。
しかし、この「ソデリエル奇譚」は、非常に繊細なつくりになっています。
個人的にとても好きだと思うのは、生き物がたくさん登場することで、暖かさを感じられることと、不穏ながらどこか澄んだ空気を吸い込んでいるようにも思えるその世界観です。
登場人物達のコミカルな駆け引きの間に、時にシリアスさ、この世界の謎を垣間見せ、その核心へと徐々に誘います。
現代の日本から、異世界である「ソデリエル」に招かれた主人公の小夜と、この世界のある国の王子、キョウリの二人の使命とは一体なんなのか?
「金糸雀の娘」とは一体何を示すのか?
この世界は、一体何を背負っていて、彼女たちに何を渇望しているのか。
その謎をこれからも追いたいと思います。
深夜に聞こえる声、光る玉、そして雷とともに落ちてきた異世界。
不穏で少し怖い始まりなのに、読み進めていくと、物語の中心にはやわらかさがあります。
突然異世界に来てしまった小夜は危なっかしいけれど素直で、不思議と周りの懐に入っていく子。
冷たそうに見えて見捨てられないキョウリ、大蛇なのに気さくで可愛いセラ、恋の話にすぐ持っていきたがるスズ、勢いで墓穴を掘るヒヅキ。
キャラクターが増えるたびに、世界が少しずつ賑やかになっていくのが楽しいです。
和風伝奇のような怪しさと、異世界ファンタジーの広がり。
そこに、登場人物たちの少しずれた掛け合いと優しさが混ざっていて、怖いだけでも重いだけでもない物語になっています。
小夜がなぜ導かれたのか、キョウリは何から逃げているのか。
謎を追いかけながら、彼らの旅を見守りたくなる作品です。