第27話「消失」

8月31日、夏休み最後の日


午前10時

美術室のドアを開けた瞬間、むっとした湿気がまとわりついた。


雨のせいで、湿気がまとわりつく。


息が、重い。



明日は始業式なのに。

気づけば、奥の倉庫へ向かっていた。


そこの棚に立てかけてある絵は、どれもお手本をなぞったように精緻で写実的な絵が並ぶ。


何かに突き動かされるように探している自分を、どこか他人みたいに見ていた。



――あった。


「目のない天使…」


汗が喉を流れる。


「ごめんね…お爺ちゃん…」


キャンバスを抱き、天使の顔に頬を寄せる。


ぺたんと床に座り、虚ろなまま、キャンバスを持ち上げる。


乾いた油彩の上から、天使にキスをした。

焦げたような匂いが、鼻を突き抜ける。


「…」


―これで、終わり?―


隣で、声がした。







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