第2話 菊姫お前を迎えに来た〜セイメイ
暗闇に無数に輝く星を背に光速で
俺様は地上に降り立った。
俺様は菊姫の細き白い手首を掴んだ。
ほのかに菊の香りが。
「待て。菊姫。
どうした?
俺様だ。忘れたのか?
それに侍女達は・・・その衣装?
十二単ではないのか。」
冷たい目で菊姫が俺様を見る。
「セイメイ?誰?
これから学校に行くの。邪魔をしないで。
それに私の友達を侍女呼ばわりしないで。」
「そうだよね。菊タン。」
「ちゃんと見なさい。これは学校の制服。
十二単でもないでしょう。
みんな同じ。
姫とか言わないで。
これ以上、しつこくすると先生を呼ぶわよ。」
「だよね。」
みなが騒ぎ出す。
「菊タン。校門に先生がいるよ。」
「先生ー。変な人がいます。
助けてくださいー。」
制服か。学生なのか・・・
先生が来た。
ひとまず消えるか。
俺様は式神キリンと先生を対峙させた。
煙幕は式神ヤッコが造り、
俺様はその場を離れた。
菊姫。
お前はどうして俺様を
忘れてしまったんだ。
「ホホホホ。」
真下の神社より声がする。
「湯島天神?」
「久しいのセイメイ。」
「スガワラ様。」
「どうしてここに。」
「今のわしの住処だ。
セイメイ、あれから千年以上の時が過ぎた。
陰陽師のお前は別だが
普通の人間は生まれ変わりを繰り返す。
と同時に記憶は消える。
ただ、愛する者同士は違う。
約束の契約の元に見えない糸が結ばれる。
セイメイ、何か約束事をその姫としていないか?
それが未だ達成されず、時の記憶の扉が
開いていないようだな。
約束・・・
『セイメイの世界を造る。
造ったその時に目の前に現れましょうと
菊姫は言った。』
「それじゃな。
令和は混沌としている。
平安の世もしかり。帝の世界だった。
セイメイ、令和を自分の世界に造り上げた時に想い人の菊姫の記憶がもどるはずだ。
しばらく。ここに住むがいい。」
俺様は千年越しの、この恋を。
この手の中に
今度こそ
「菊姫がほしい。」
すべてほしい。
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