いくら好きも、そうでない方も楽しめる。まさにいくらに溺れるための作品です。
主人公の親友が、あの手この手でいくらを好きになってもらおうと奮闘する様子が描かれています。
二人の仲睦まじい様子に差し込まれる狂気が、自然と読み手を引きずり込んでくれます。
中でも特にいくらの描写がリアルで、それらが弾ける様子や質感を余すことなく表現していて素晴らしいと感じました。
真相が明らかになる後半部分では、二人のやり取りや心理描写が妙に背徳的でゾクゾクしてしまいます。
読み終える頃には、タッパーに詰められたいくらの美しさと尊さ、そしていくらが人生に欠かせない存在であるかを再認識することでしょう。
その頃には、あなたの髪にもオレンジカラーの差し色がきっと……。