ビルの警備員が語るのは怪異譚。
でも怖さはありません。
語る怪異は〝スネコスリ〟
犬にも猫にも似ている姿形の妖怪です。
スネコスリは人の足元に身をスリ寄せます。
そうして人の精気を取り込むらしいのです。
外見や行動にくらべて、危ない妖怪です。
でも本作に描かれたスネコスリは、わきまえています。
たくさんの人から少しづつ精気をもらっていました。
でもあるとき。
ビルある会社の経理のお姉さんに擦り寄り、意図せずに転ばせてしまったのです。
なんでも、経理さんを昔縁のあった人だと間違えていたようです。
原因は経理さんの守護霊。
生前、守護霊が旅芸人だったころ、スネコスリと知り合いだったのです。
スネコスリに一人から精気を奪いすぎないように諭して、人の多い町へ連れてきたのが、経理のお姉さんの守護霊の生前の人だったのでした。
どうやら。
人とは異なる隣人たちも、人と同じように誰か親切やぬくもりを覚えているようです。
そうして、人と関わりながらも人と異なる時間を生きているのでしょう。
やがて季節は移り変わり、縁も巡ります。
別れもありました。
よくわからない隣人たちは、どうなったでしょうか?
それは、本作へ進むとわかりますよ。
悪意のない、隣人たち。
そんな和やかな妖怪なら会いたいと思わせてくれる。
この作品はそんな優しい物語なのです。