第9話 死にゲー廃人、晒される
【VRMMO《エクリプス・リンク》総合掲示板】
59:名無し
おい、この動画見てくれ!
60:名無し
彷徨う騎士の討伐動画? って一時間!? 長すぎだろ!
61:名無し
装備の見た感じ、ジョブは流浪人だな
間違えて選んだのか、逆張りオタクの変態か、どっちだろ
62:名無し
けどなんで上裸なんだ? 流浪人でも脚以外の装備はあるだろ?
63:名無し
それよりこの初心者、彷徨う騎士に勝ってるんだよ!
64:名無し
初心者装備の高レベルプレイヤーじゃなくて?
65:名無し
いや、この火力は明らかに低レベル……なんなら10レベル以下もありえるぞ
66:名無し
いやいや、彷徨う騎士って初心者殺しだろ?
流石に討伐して低レベルは無理があるって
67:名無し
俺、今レベル89だけど、もし20レベルとかなら木の棒でも、もう少し火力出るはずだ
68:名無し
このプレイヤーについて調べて来たけど、今9レベルだ
彷徨う騎士の経験値は1200と言われてるからレベル1なら丁度計算が合う
69:名無し
マ?
70:名無し
え?
71:名無し
ちなみに彷徨う騎士の討伐記録の最低レベルって何レベ?
72:名無し
ケイルが10レべで倒して一年前に話題になったよな
73:名無し
あの日本最強でも10レベルになってジョブスキルを手に入れてからじゃないと倒せてないじゃん
間違いなくこいつも10レベル以上だろ
74:名無し
お前、動画見てないだろ。ちゃんと見てから言えよ
75:名無し
それな。こいつスキルなんて一回も使ってないぞw
76:名無し
カウンターだけで勝ってるんだけどww
カウンター縛りでもしてんの?
77:名無し
いや、逆だな
おそらく本当に1レベならカウンターでしか攻撃が入らないんだ
78:名無し
どういうこと?
79:名無し
1レベだとステ足りなくて攻撃が遅すぎる
だから先に動いたとしても彷徨う騎士の攻撃を食らって殺される
80:名無し
そうそう
だから大ぶり攻撃のデカい後隙に確反を取って殴るしかない
それ以外で殴ったら硬直で逆に斬られる
81:名無し
別に防御し返せばいいんじゃないの?
パリィとか
82:名無し
1レベのステで木の棒なんかで受けたら即死だぞw
83:名無し
なるほど。要するに防御不可、通常攻撃不可だからカウンター限定の詰みゲー状態で戦ってたってことか
84:名無し
それを延々と1時間やって討伐成功とか正気の沙汰じゃねえw
85:名無し
いや、これ俺も目の前で見てたけど、もっと戦ってたぞ
俺より前に観てた人もいたから二時間ぐらい戦ってたんじゃね?
86:名無し
え? ってことは1レベルのまともに戦闘もしていない初心者が、二時間一撃も食らわずにカウンターだけで勝ったってことか?
87:名無し
字面にするとガチで化け物で草生える
88:名無し
動画見てきたけどマジでカウンター精度エグいんだよな
1秒でもタイミングズレたら即死確定なのに一切ズレない
89:名無し
チーターとかって路線はないの?
90:名無し
絶対にない。隣に1周年特典の案内役AIがいるからな
91:名無し
あー、あれチートの検出もするんだっけ?
92:名無し
そうそう、エクリプスは今、プレイ人口がめちゃくちゃ増えてるから、案内役と合わせて新規のチーターが増えないように運営が対策してるらしい
93:名無し
さすがはエクリプス
マジでチーターとスマーフ(サブ垢)対策はどのゲームよりもすごいな
94:名無し
だからこんなに一年で人気になったんだろ
95:名無し
それで結局こいつは何者なんだ?
96;名無し
他ゲーのプロとかだろ
97:名無し
調べてもそれっぽい名前は出てこないし、別名義のプロだろうな
じゃないとこんなに体を正確に動かせねぇよ
98:名無し
へぇ、それなら今後の活躍が楽しみだね
99:名無し
マジでそれな
これが奇跡だったのか、実力なのか今後の彼の動向で分かるだろうし
100:名無し
当分はストーリー進めるだろうからPVEオンリーだろうけど、対人のPVPとかも見てみたいよな
101:名無し
今のうちに古参名乗っておこっと
◆
一方その頃、エクリプスの二つ目の大陸にある【ヴァ―リアン】という都市にて。
ここは攻略最前線組が集まる最前線の港湾都市。
現在は二つのトップギルドと、数名のソロプレイヤーがこの都市に滞在していた。
そんな都市にある酒屋で一人の整った顔立ちの青年が食事をしていた。
「ふむ……やはりこの都市の食事は美味しいな」
幸せそうに食事をほおばる青年の背後から、少女が声をかける。
「ねぇー団長。あなたの記録が抜かれたって掲示板で少し話題になってるわよ」
「僕の記録?」
団長と呼ばれた青年は少し気になった様子で振り返る。
すると少女はその青年の正面の席に腰をかけた。
「まぁ界隈で話題になってる程度だけどね。でも、これが少し面白いのよ」
「ふふっ、嬉しそうだね。リリア」
「そりゃそうでしょ。ゲーム業界の神童と呼ばれたケイル様の記録が破られたんだから」
少女の名はリリア。
小さく可愛らしい見た目とは裏腹に、メイン武器は巨大な大槌というかなり好戦的な【
そして彼の正面にいるプレイヤーこそが日本ランキング1位のケイル。
この世界でただ一人のユニークジョブ【勇者】に選ばれた存在。。
彼はプロゲーミングチームにも所属しており、エクリプスの日本サーバーを背負っている男と言っても過言ではない。
彼はリリアの所属しているギルド【
もちろん
「それで僕の何の記録が破られたんだい?」
「彷徨う騎士の討伐記録」
「あぁ、あの最初の初心者殺しのモンスターか。懐かしいね」
「そう、あれを1レベルの初心者が倒したっぽいの」
リリアがそう伝えると先ほどまで笑顔を浮かべていたケイルが真剣な表情になる。
そして感心するように言葉を漏らした。
「へぇ……それは凄い」
「団長が本心で褒めるの初めて見たかも。やっぱり団長から見ても凄いの?」
「そりゃあね。僕も1レベルの時に戦ったけど、絶対に勝てない仕様になってた」
「絶対に勝てない仕様?」
「俊敏が足りなくて相手の攻撃が避けられないんだ。相手の攻撃が発生した時には既に避けようとしないと死ぬ。かといって行動パターンはAIによって変えられるから暗記したところで避けられないしね」
ケイルは一年前の出来事を懐かしむように笑みを浮かべる。
「それに火力が全然足りないんだ。奇跡的に攻撃を与えても1%か2%減るぐらい。だから10レベルになって新しいジョブスキルを手に入れてからじゃないとまともに戦闘すら出来ないんだよ」
「でもこの男、ちゃんと倒してるわよ?」
「僕にも想像できないような方法で倒したんだろうね」
するとケイルは興味が湧いたようで、掲示板を見ているリリアに尋ねる。
「ちなみにそのプレイヤーの名前は?」
「えっと……ナギって名前ね」
その名前をケイルに伝えた瞬間、一瞬でケイルの雰囲気が変わった。
「……なに?」
突然、黙り込んでしまったケイルを見てリリアは不思議そうに眉をひそめた。
「どうしたの?」
「……いや、昔やってた別のゲームでの僕の師匠の名前と同じだったから、少しびっくりしただけだよ」
「あの神童のケイル様にも師匠みたいな人がいたんだ」
「そりゃあ僕も最初から強かったわけじゃないからね。師匠は僕の何十倍も強いし、師匠のおかげで今の僕がいると言ってもいい」
「もしかしてその師匠だったりして」
「ははっ、それはないさ。あの人は絶対にMMOはしない、というよりあのゲームジャンル以外をするわけがない」
「ふーん」
すると食事を終えたケイルはゆっくりと席から立ち上がる。
そんな彼の様子にリリアは首を傾げた。
「討伐動画見なくていいの?」
「今さらそんな低レベルのモンスターの討伐記録を見たってね。それに彼が本物の強者なら、半年もすれば僕たちのところまで上り詰めてくるだろう」
「それもそうね」
「それよりも今はどうやってあのフィールドボスを倒すか考える方が優先だ」
立ち上がったケイルについていくようにリリアも立ち上がる。
ケイルは食事代を払おうと大柄な体つきの店主のもとへと向かう。
すると店主は首を左右に振った。
「お代は結構だ。勇者様からお金なんて取られるわけない」
「ではお言葉に甘えて」
「勇者様……この世界を守ってくれよ」
「もちろんです。この勇者の名に懸けて」
爽やかな笑みで答えるとケイルは酒場をリリアとともに後にした。
そしてケイルは空に浮かぶ欠けた太陽を見ながら口にする。
「じゃあギルドホームに戻ろうか」
「りょーかい!」
プレイヤーネーム:ケイル
ユーザーID:0000245923
レベル:99
公式ランク:1位
ジョブ:勇者
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます