7.

7.

暫く固まる

ということは

二人は既に把握されていた・・・・・・・・のか…?


「フリー?どうした」

「もしかしたら、既に見つかっていたのかもしれない」

「俺達を助けて欺いていたのと、あの建物の中を無断で使用していたのを?」

「そうだよ。…やはりあの建物は無断で使用されていたのだな」

「あっ…… そ、そうだよ。あそこは会社なんだけど二人の職場でもある。仕事内容はあれの退治」

「うん。そう。レオンの機器を持ってきたのだけどな、これ……」

「?」

「多分、レオン自身も既に変化をしてしまっていたから反応をしなかったんだ」


フリーは鋭い所を突いてくる

つまり機器自体は壊れてはいなかった

変化をしていると確信をしたのは何故だろうか


「この機器は今は動いているんだよ。感知をする源であるレオンと離れたから再び動き出したんだ」

「なるほどな それで彼が少なくとも変わってしまっているのだと分かる状態?」

「そう。既に感知自体はしていたんだ。」

「なるほど」


あの二人は結局は実は最初からあの人の手中に収められていた可能性が高い

そして俺達の目の前に再び姿を現した……

全身が覆われているのは如何なる理由があるのかは何故か察せるような気がした

あの人は騙されてなど無かったのだ


「レイ、あの人の顔は見ていないんだな?」

「うん。同じように服で覆われていて見えなかった」

「俺はあの人に何処となく覚えがあるような気がするんだ。何でなのかは分からない。が、俺たちにとって敵なのだろうか?」

「ごめん。部屋に戻りたい。いや、あの部屋は気が引けるな。だってあの人が現れた所なんだ…… もっと別の……」

「それなら別の所を借りに行こう。あの部屋は大人であるレオンが借りていた場所だ。俺達ではないのだし」

「ああ。本当はあそこに住み続けるのもいいのかもしれないが、血が流れたのであんまり居たくないんだ」

「俺が来た時にはあの人が拭き取っていたのか そして君はあの人が怖いんだな」


レイは頷いた

俺達は部屋を新しく借りる為に家を扱う場所へ向かった

仮に飛行場へ行くとしても場所が何処だか分からない

そもそもここが地球の海の上の何処にあるのかも分からないのだ


あの青年は誰なのだろうか

実は覚えがあるような気がするんだ

姿こそは見えないものの

決して俺は知らない者ではないような……

そう考えながら今にしては珍しく馬車で賃貸へと連れて行ってくれた人がいた。元々は車を使用していたらしかったのだが、趣味で馬車を走らせているらしい

レイは既に椅子で寝ている

俺も一眠りをしそうになる

そのままゆっくりと意識を手放していった


――


気が付くと俺は今度は目の前に皆がいた部屋にいた

レイ、マカラ、あの兄さん……ザンもいる そしてレオンはいない……

周りを見渡してみると最近にも使われている誰かの部屋のようだ


マカラ「あ!気が付いたわね!フリー君。」

レイ「あ!フリー。あのな、部屋は俺達で先に借りておいたぞ。ここだよ。いいよな?」

フリー「あ、ああ。すまない。寝起きでよく理解出来ていない。既に借りたのは分かった。何で兄さん……ザンさんがここに。マカラは今はもう無事なのか?」

ザン「君達は気が付かなかったみたいだけどね」


そう言ってザンさんは懐から小さな機器を取り出した

探知機のようだ いつの間に


レイ「俺も驚いたよ。いつ取り付けられていたのか全く分からないんだ。そのお陰でこの人が賃貸で困っていた俺達にアドバイスをしてくれたんだ。そう。俺達の音声まで聞こえていたんだ」

フリー「それで、マカラを担いだ後に直ぐに俺達のような子供をそのままに病院へ行けたのか」

ザン「そう。そう。本当だ。賢いね君は。マカラは今は大丈夫で、普通に動けるようにまで回復をしているよ。……そして彼女のことは呼び捨てなんだね。それなら俺のことも呼び捨てでいいよ。その彼女と同じ大人なのだし。」

フリー「ザン。有難う。恩に切る。」

ザン「なんの。困った時に助けてくれたのもあるし。でも観察をする限り、君達は二人で何とかやれていたんだ。馬車を走らすおっさんはレアなんだよ。あの人有名だよ。あんまり会えないけど。そこに丁度、マカラさんの体調が戻ってきたので迎えに行く事にしたんだ。」

マカラ「ザンも私のことを呼び捨てでいいわよ。」

ザン「じゃあマカラ。不動産にこの子達が着いた時に支払いをしてくれて有難うなあ。」

レイ「フリーを担ぐのは何でもない。それにしてもまさか俺達のことをそんな小さな機械で観察をしていたなんて、全く気が付かなかったなー」

ザン「そりゃあ君達のような小さな子供を置いてせっせと行く訳はないだろう?」

レイ「俺もフリーと同じくらいの背丈があるんだが」

ザン「あーそうだね。俺より少し小さいくらいだもんねえー。ま、こうして困った時に俺が来れたのはそうやって付けておいたからなんだよ。不動産を小さな子供が扱える訳無いだろうがよー。」


和気藹々とした会話が繰り広げられているがある一点が気になる


ザンは敢えてはぐらかしているようだ


あの男のことを


声が聞こえていたならあの男との会話も聴こえているはずだ


それなのに、何も言わない


そのことに不穏な気がした


フリー「これからどうする予定だろう?」

マカラ「私はレオンの葬儀に出るわ。大切な配偶者だったもの」

フリー「ご夫婦だったのですね。お気の毒です。お悔やみ申し上げます。」


レイはこちらを見ている 大丈夫だ あの男のことは口に出さない


ザン「送ろうか?」

マカラ「いいえ。これ以上貴方に気を使わせたくないわ」

ザン「気というのは、身体の中に巡る力の意味ね」

マカラ「ええ……」

こんな時にも冗談を言えるなんて、ザンは陽気なのねとマカラと皆は思った


マカラ「では、行ってきます。帰りはここの部屋に帰るわよ私も。ここには皆で住むの。ザンも入れて。」

ザン「あー 急なご紹介に預かってしまったが、皆で世界の混乱の源を退治するからこうなったんだ」

フリー「なるほど。確かに皆で纏まっていると力強い ところでなのだが、マカラは何とも無いというのは……」

ザン「そうだよ。なってない・・・・・よ。」

フリー「無感染?だったか。それならよかった。レオンは一体…」

レイ「いやそもそも多分レオンさん自体が元からそうだったんだよ」



彼自身が元から…… ?


フリー「では、俺達がこれまで関わりを持ってきていた彼というのは」

ザン「レイの言うとうりだよ。実は自分では全くで分からなかったということで、彼もまた同じく化け物だよ。生まれも化け物と同じ。」

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