6.
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俺達は街中の薬屋を探す
人が居ないので何処にあるかも聞けない
ようやく見つけた通りすがりの人に薬屋の場所を聞いた
少し遠くにある
間に合うかが懸念される
何キロも歩く必要がある
突然 目の前に巨大な図体をした者が立った
さすがに身が引く
この人は………
………………
その者は「あまり気を詰め過ぎるなよ」と言ったような気がした(驚いていて声がよく聞き取れなかった しかし声は大人の男性そのものだった)
男性は立ち去って行った
間違い無く、俺達が目覚めた時に見たあの大柄な男性その本人だ
その男性がここに居たという時点で不穏な予感がする
具体的に何がどうとは言えないが
「なあフリー もしかしてまずいのか」
「そうかもしれない 今薬屋へ行って仮に薬があったとしても、間に合うのだろうか」
「分からない」
「意味の無い事にしてはいけない。とにかくは薬屋へ行ってみよう。薬があったら一先ずはいい。無かったら諦めて部屋に戻ろう。」
「部屋って、二人の?」
「そうだよ。そもそも二人は「化け物になる何かに感染をしている」という事自体が推測でしかない。が、薬を貰うという行動自体は良いはずだと思うんだ。」
「うん。レオンの電子機器が反応しなかったのは彼らが既に化け物だからではないのか?」
「それも推測だよ。もしかしたら違うかもしれないじゃないか。…違っていて欲しいが」
「取り敢えずは行ってみようか。」
気を持ち直して薬屋の方向へ歩んだ時、前方に傷を負った男性がよろけながらやってきていた
俺達はその者の元へ行き、腕を俺たちの肩に置かせた
「……ありがとう。」
金色の髪の毛に緑色の目、防具を全身に纏っている
雰囲気的には大人だろう
フリー「この傷は一体」
「例のあれだよ 最近になって世界中に頻出をしている浮浪者のことは流石に知っているよね?」
「うん。あれにやられた…?」
「そう 強過ぎる 倒しはしたが身体はボロボロ」
「兄さんの薬も見繕って来ようと思う。実は俺達は薬屋に薬を買いに行こうとしていたのだが、貴方の傷薬も買ってこれる。……直ぐそばに音楽館がある。そこには席が沢山あってゆっくりと休める。そこで暫く身を安らげているといいと思うが」
「え、薬屋…?それってもしかして、⚪︎キロメートル先の⚪︎⚪︎?」
「知っているのですか。」
「ああ。そこなら僕が連れて行ってあげるよ。このままの体勢でいて。」
レイ(もしかしてこの兄さんも……)
男は何かを念じた
俺達の肩をぎゅっと締め付ける
!
身体が、浮いてくるような感覚だ
「ワープ」と男が高らかに言うと俺達の身体は浮いた
直ぐに下の地面が見えて、ゆっくりと着地をした
? ? ?
何が起こったのだろうか
レイ「おおー!薬屋だ」
俺達の目の前にあったのは例の薬屋だった
どうやらこの男性が行ったことのようだ
レイは既にこの男性も俺達と同じように強いのを理解しているようだ
「ここであっているかな?」
レイ「合っています。有難うございました!」
「いや、礼を言いたいのは僕の方だ。ここで好きなのを買ってくるといい。あ、俺のはいいよ。自分で治すから。また戻りたい場所へ届けてあげる。」
レイ「有難うございます!その身体は少し休めた方が治す為に気を休められるのでは?やっぱり兄さんの薬も買ってきます。待っててね。」
フリー「貴方の薬も買ってきたいです。そのまま待っていて下さい。……気を癒して治療のためにも。」
「ああー、有難うねえ。」
俺とレイで薬屋に入り、傷薬を手に入れ店員に聞いてみる
化け物になった人を元に戻す薬というものは無いと言われた
……残念だが、そのような薬自体がそもそも無いらしい
落胆した しかしまだ二人が確実にそうであるという根拠は無い
僅かな希望を想い、薬屋まで届けてくれた男
ザンに俺達の部屋の近くまで送って貰うことにした
彼は笑顔で送り届けてくれた
「子供二人だけではよく分からない事もあるよ。俺がここで待ってるね」と下で待っていてくれるみたいだった。
何と無く、それは心強いことであるような気がした。困ったことがあったらこの兄さんが頼りになるということだ。そう… 困ったことになったら、だ
俺とレイは急いで部屋に駆けて行く
ドアを開けて見てみると二人は倒れていた
二人の身体に近付き、様子を確認してみる
……レイがレオンの呼吸が無い事を確認
俺はマカラの呼吸を確認した。僅かにある
フリー「マカラ。大丈夫か?俺だ。フリーだ。」
彼女はゆっくりと呼吸を広げている
何かを言おうとしているようだが言葉が発せないようだ
俺は彼女に何も言わずにゆっくりと呼吸を続けることを提示した
こういう時に恐らく彼だ
俺はマカラを背負い、下まで降りて行く
彼が待っていてくれていた。彼に彼女の介護を頼み、上に戻った
ザンは「任せておけ!」と胸に拳を打ってマカラを背負い、病院へと向かったと言う。ちなみに彼の傷は全て完治をしていた。瞬間移動をせずに走って行くのは近くにあるからなのだろうか
上に戻るとレイは両手を床につけて両足の膝を下に付けて「すみません」と何回も言っていたようだ
どうした?と声をかけると俺を見てギョッとした
しかし直ぐに「な、何でもない」と言った。その様子は普通のレイ
「レオンは…… やはり、無理か?」
レイは首を縦に振った
「誰にやられたか…… 話せる範囲で話せるか?」
レイはその瞬間 表情を強張らせた そして何も言わない 言えないようだ ただ下を見つめて何も考えられていない様子だ
フリー「なあ、もしかして 俺は二人に危害を加えた人物と似ているか?」
レイは一瞬、目を見開いて俺を見たが直ぐに「……そんなことは無いと思う……」と言った
フリー「レオンはこの建物の管理人に伝えよう。マカラはザンが背負って病院へ向かったよ。その前に」
俺はレオンの電子機器を確認する
……これで敵の居場所が分かる
というよりはこれはそもそも何かがおかしいように見える
このようなものなのだろうか? 敵の居場所が確認出来ない というよりは動いていないようだ
少し違和感を感じた 機器をレオンから離してみよう
俺は機器を攫った レオンは管理人に説明をして渡した
さて。俺達はどうしようか
家に帰れないだろう
大人の二人が居なくなって道が無くなった
フリー「レイ。これからどうしようか。帰ろうにもどうする手立てもない」
レイ「そもそもここが日本じゃ無い時点で言葉が通じるかも分からない。あの兄さんは同じ日本人だったから通じたみたいだが」
フリー「ここは日本人も多そうだよ。きっと大丈夫。結局、俺達は何の為に鍛えられようとしていたのか 何をされようとしていたのかも分からなかった…… 道が無くなった以上は帰るしかない。飛行機のある場所はどこだろうな」
その時「その必要はない」と前方から声を掛けられた
前にあの男が現れた
相変わらず服装が全身を覆っていて顔も見えない
「飛行場は今は攻撃をされて使用できない状態になっているんだ。乗れないよ。そして君達は既にこちらに来ているんだ。帰らなくていい。帰るのは仕事を終えてからだよ。」
男はそう言って去って行った
「今の人だよ」
レイはそう言った
あの人がレオンとマカラを……?
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