それだけのこと

古 散太

それだけのこと

どこを探しても見つからない

それでもずっと探してるもの

そのかけらや影を見かけても

尻尾をつかむことはできずに


近づけば遠くに離れていくし

目を離せば急にそばに近づく

そんなことを繰り返しながら

人生の貴重な時間が過ぎてく


それでも人は探しつづけるし

なんとか手に入れようとする

それをモノとして見るかぎり

手が届かないことに気づかず


最初からそれは手の中にあり

どこにも行ったりしていない

ただ誰も見ようとしなかった

これがそれだと思っていない


心を静かにして落ち着いたら

ひとつ息を吐いて見つめれば

あなたの手の中に握っている

すべてという名の愛が微笑む


物理的な視点だけではなくて

在りそうもないことも考える

それは無いことかもしれない

でもぼくたちはまだ知らない

それだけのことかもしれない

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

それだけのこと 古 散太 @santafull

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ