君が死んだ日に、僕は生まれた

岸亜里沙

君が死んだ日に、僕は生まれた

君が死んだ日に、僕は生まれた。

この意味を知るには、あとどれだけの月日が流れればいいのだろう。

僕らはずっと共に生きていたのか。きっと生きていたはずだ。一緒に居たはずだ。肉体だけは。

だけど分からない。

どうして君が死んだあの夜に、僕は全然泣けなかったのか。

あんなに愛していたのに。

いや、愛してはいなかった。

ただ一緒に居ただけなんだ。君の心を、僕の心を知らない内に見失っていた。

でも、なんで、一緒に居たんだろう。運命か?義務か?今となってはどうでもいい。無意味な議論だ。

棺の中の君にかけた最後の言葉。

「助かった」

その言葉を選んだ理由は、分からない。

今も一人、僕は薄暗い部屋で考える。

君が死んだ日に、僕は生まれたんだと。

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君が死んだ日に、僕は生まれた 岸亜里沙 @kishiarisa

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