乙女ゲー世界の主人公にTS転生したけど、攻略対象の男どもが気に食わないからシナリオを放棄して悪役令嬢と2人で最強パーティーを組んでみた。
真嶋青
第一部
序章 悪役令嬢の奴隷になってみた
第1話 TS転生しちゃったらしい
「おっと、お嬢さん。落とし物、ダゼ?」
陽光を浴びて輝く
その瞳に見つめられるだけで、心が吸い込まれそうに――
(なるわけねぇだろ!!)
キラキラした笑顔でハンカチを差し出す金髪男。
その瞳の奥に、絶対的な自信と、他人への支配欲が透けて見える。
(この野郎、やっぱ気に食わないわ)
「……どうも」
金髪男からひったくるようにハンカチを奪い、汚れを払うように目の前でパンパンと叩く。
「はぇ?」
目を見開いて固まる男を尻目に、
◇
俺は、
理不尽な上司に頭を下げ、無茶な納期に追われる日々。
唯一の癒やしは、ゲームの時間だった。
『兄貴、早く! シャルル様の次のイベントが見たい!』
『あんな俺様野郎のどこがいいんだ? こいつ、俺の上司と話し方が似ててめっちゃ不快なんだけど……最初だけ優しくて、後からオラついてくるところとかそっくりだわ。今戦ってる女の子の方が可愛くて良いだろ。めっちゃ強いし』
『リゼットは主人公の邪魔をする悪役令嬢でしょ!』
乙女ゲーム『プリンス・ヴァイブス』、略して『プリブス』。
やたら
攻略対象の男たちに前世の妹は熱を上げていたが、俺には理解不能だった。
そんなプリブスには、ダンジョン探索をメインとした冒険要素が取り入れられている。
ゲームが下手でシナリオパートしかプレイできない妹に
しかし、マニアックなマップ探索に、やけに難易度の高い敵とのバトル、乙女ゲーとは思えないやり込み要素が満載で、いつの間にか俺もプリブスにハマっていた。
(だからって……
しかも、ゲームの主人公、リーナ・フローライトに――。
自室の鏡に映るのは、銀色の髪を持つ、いかにも
白を基調とした、西洋の軍服とセーラー服を足して割ったような制服は、ゲームで良く見慣れたものだ。
転生に気づいた日、俺はいるかもわからない神様を呪った。
だが、俺にはこの『プリブス』における圧倒的なアドバンテージがある。
ダンジョンのギミック、隠しアイテムの場所、ボスモンスターの弱点。
その全てが、頭の中に入っている。
この知識は、俺がこの世界を生き抜くための最強の武器だ。
(正規シナリオ? そんなのガン無視して好き勝手に生きてやらァ!!)
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