第5話 一番最近持って来たもの
母が来た。
緑の封筒を持って来た。
「こんなのが来たんだけど」
と差し出された緑の封筒。
差出人は、母と父の出身市の農業委員会。
(何、これ?)
農家でもない我が家に、なんで農業委員会から手紙がくるのか、不思議に思いながら開けてみると、入っていたのは。
『一郎丸母様、一郎丸姉様、一郎丸様名義の土地に雑草が繁茂して近隣から苦情が出ておりますので、対応お願いします。』という内容の書面。そして草ぼうぼうの空き地の写真。
聞いたことのない住所。はっ、何これ? どこここ?
なんでも父の名義だった土地で、今は母と姉と私の3人の名義になっているそうだ。
なにやら、ごちゃごちゃ昔話をしてくるけど、まったく自分で対処しようという気はないらしい。
母は年齢を言い訳にし、姉は県外だから結局私が動かなければならない。
現地を見に行く。身に覚えのない自分の土地。場所がわからない。何せ道に隣接していないので、行きつくまでに他人様の敷地を通らないとならない。
人様のお宅にお邪魔して、事情を説明する。幸いいい方だったので、お願いして現地を確認させてもらうと、雑草が腰の位置位に伸び、雑木が聳え立っていた。
土木屋さんに処理をお願いしたけれど、このタイミングで社長が認知症を発症してしまったらしく話が進まない。
しかも、この土地、半分が他人様の土地で境界線が分からず、四苦八苦。
ほぼ、私がやっているのに、家に来た母が
「面倒な土地残されてかなわん! %‰∮%≤≪“¥+」
とながながと愚痴を言い続けている。やること皆押し付けて、何がかなわんのかわからん。イライラしてきたので
「いや、一番かなわんの私だから!」
ブチ切れると母が言った。
「じゃあ、お母さんが死んだらあんたが家を貰えばいいじゃん」
築50年の、あちこち修理が必要な家を私にくれるそうだ。しかもまだ10年は生きそうだし。
相続放棄の準備を進めなければ。はふうぅ😮💨
それでも、先日、なんとか作業してもらえた。処理に15万4千円かかった。全額私が払った。
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