世界を滅ぼす龍と少女の物語ーヴェルミリア伝記ー

霧島 碧

第1話 ここはどこ

―アスカの話―


波の音が聞こえる。

ゆらゆら揺れていたと思ったら頭が何かにぶつかった。

けれどまた流されて今度は背中まで打ち上げられた。

ザザーザザーと気持ちの良い波の音が聞こえる。

閉じた瞼の裏に太陽の光を感じる。

顔全体、体全体が太陽の光を浴びて暖かくなっていく。


私はゆっくり目を開いた。

太陽の光が眩しかった。

とても気持ちが良かった。

私は透明なカプセルの中に仰向けに寝ていた。

カプセルはプラスチックのようなものでできており私はその透明な物体越しに太陽の光を感じていたのだ。


左腕に少し痛みを感じ、見てみると左腕には管がつながっており、それがカプセル内の左側にある埋め込まれた箱のような機械に繋がっていた。

「生体反応以上無し」とその機械から音声が聞こえ、管が抜けて箱の中にスルスルと収納された。

管の先は針になっていて抜けた部分から少し血が出た。

「陸地に到着した模様、カプセルを開けます」

また音声が流れてカプセルが頭から腰のあたりまですーっと下にスライドしていった。

外の空気を吸えた私はここは海だなと思った。

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