李光人の奇妙な冒険 ~闇バイト 虐殺館~
軽部雄二
第1話 留年3年生・板垣李光人
李光人は顔に照らされる日の光で目が覚めた。時計を見るともう12時を回っている。
「・・・・・やべ、また寝過ごした。」
板垣李光人は公正大学1年生。入学したばかりの新入生。という訳ではない。入学したのは3年前だ。つまり今年3回目の1年生を迎えるダブり学生である。ダブった理由、それは生活の乱れから。
「・・・・・今日も休むか。面倒くせえや・・・。」
兵庫から上京して一人暮らし。親元から離れた事が李光人には良くなかった。口うるさく注意する人が居ない為、しっかり自堕落な生活となってしまったのだ。今日も午前中の授業を寝過ごした事により3コマ吹っ飛ばしてしまう事になった。このままだと今年も留年する事になる。
「まあ、いいか・・・・。」
李光人は楽観的だ。公正大学は一学年5回留学したら退学となる。つまり今年も留年したとしても来年があるからだ。李光人は布団から起き上がると、起き抜けに昨日、喰いかけたまま残っていたカップ麺を啜った。常人ならば冷たい伸びたカップ麺など食えたものでは無いが、李光人には貴重な食糧である。
なぜか?李光人が3回も留年した事に怒った親が仕送りを半減したからである。アパートの家賃は何とか払えてはいるものの、生活費はカツカツ。食費は削らなくてはいけなかった。
「ふざけやがって、糞ババアが。俺に飢え死にしろって言うのかよ!」
腹が減った。3日で食事はカップ麺3個である。23歳の胃袋には堪える。財布の中を確認すると、3千円しか入っていない。
「これで、あと10日もどうやって生活するんだよ!」
李光人は頭を抱えた。兎に角、金を調達しなければならない。このままでは
大学に行くのもままならないではないか。李光人は手早く着替えを済ませると、顔も洗わず、歯も磨かず、髪もボサボサのまま、バイトに向かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます