神様と異世界
目の前にいた小さく白い球を私はボーっと見ています
…なぁにこれ?
プカプカ浮いていますし
でも不思議なことに部屋の色と同化してないんですよね
同じ白色なのに…
「そろそろ話をしてもよいか?」
やっぱり球が喋ってますわ
しかも結構偉そうな口調で
「すまんな…
こういう喋り口調なのだ
我慢してくれ」
…えっ?
もしかして、この声が聞こえてますの?
「もちろんだ」
それは…ごめんなさい
気を悪くしましたよね?
「大丈夫だ
転生者は皆、そのように思う
前の転生者は我のことを爆弾と呼んでいた」
爆弾…?
なぜそのように思っていらしたのか
「仕方ないだろう
第二次世界大戦の現役兵士だったのだ
丸い物が爆弾に見えるほど疲弊していたのだろう
…そんなことはどうでもいいのだ
ここはどこなのか
汝は何故ここに来たのか
我はいったい何者か、話そう」
お願い致します
「う、うむ
…歴代転生者の中でも落ち着きすぎておるな
汝は死んだのだぞ?」
そうは言われても…
死んでしまったものは、どうしようがありませんし
ですが、この考え方がおかしいのは重々承知しております
「ふむ…
それには理由があるのだが、それは一通り説明してからの方が良かろう
まず、我は神である!」
うわ
「本当に軽蔑したような声を出さないでくれ、傷つく」
ご、ごめんなさい!
本物だとは分かるんですけど、どうしても反射的に思ってしまいました!
「そっちの方が失礼だとは思うぞ
気を取り直して…ゴホンッ
そして汝には汝のいた世界とは異なる、剣と魔法の世界に行ってもらう」
剣と魔法⁉
もしかして異世界転生ってやつですか⁉
「う、うむ
いきなり食いついてきたな」
それはもちろんですよ!
学校に行き、剣術を習うだけの日々の唯一の癒しがアニメでした
その中でも好きなのが異世界転生系!
「我も日本の映像技術の素晴らしさは分かるぞ
特に特撮などは素晴らしくカッコイイ!」
わかってますねー!
ライ〇ーキック、いいですよね!
男のロマン!私も練習しました
「自分でやってみる…か
その考えはなかったな
話がそれたな
汝には、そこで英雄になってもらう」
王道の展開キター!
つまり!私が!
「そう!勇者である」
うっひょー!
…失礼、はしたない姿をお見せしました
「う、うむ…大丈夫だ
かなり困惑したが大丈夫だ」
ちなみに、なぜ私なのですか?
何か深い理由があるのでしょうか?
「もちろんだ
汝は英雄になるべき器
生まれる時代を間違えたが故に英雄になれなかった魂なのだ」
なんてカッコいい響きでしょう!
具体的には私は何を為すのでしょうか!
「ふむ…
戦国時代に生まれれば『信長の刀』
江戸時代に生まれれば『月下の人斬り』
戦争の時代に生まれれば『ジャパニーズ・ワルキューレ』
要するに戦いの英雄であるな」
私、思ったよりもバーサーカーでしたわ
確かに昔から「命への頓着がない」とは言われてましたけど…
「そう言うところが英雄の器なのだろう
最も今世では生きずらいだろうがな」
そうでもないですよ?
剣に対する恐怖心がないって、お父さんからよく褒められました
「それは…いいことなのか?」
少なくとも私にはいいお父さんでしたね
周りの人と違って私を認めてくれましたので
…最後に、お父さんに会いたかったですね
出張で一週間ぐらい、いなかったので
「ふむ…
その願い、叶えてやらんこともない」
本当ですか⁉
「うむ
その代わり、一つ我の願いを聞け」
…何でしょうか?
「予言には必ず従うことだ」
そんなことでいいのですか?
…月宮の名に懸けて、必ず果たしましょう
「良かろう
汝の願い叶えてやろう」
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
愛しの娘が死んだ
まだ若かったというのに
死因は転んだことによる脳出血だそう
そんなことがあるのかと思ったが起こってしまったものは仕方ない
…もしかすると自分の教えのせいかもと思うと胸が痛くなる
だからだろうか
「ん?ここは…」
いつの間にか手には真剣を持っていた
そして相対するのは…
「…輝夜?」
愛しい娘の、影のようなものだった
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趣味人魔王様! 気まぐれなリス @risu0726
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