ガーさんの家、開店
前回のあらすじ
なんか魔族の天敵がいた
大賢者
此度の
戦い方は至ってシンプル
魔術による虐殺
スキルが圧倒的な強さを持つこの世界では珍しいタイプだ
だが流石に全ての魔術を第五階級、つまり最大まで使えたら最強である
それがこの男、大賢者だ
そんな男と魔王軍幹部総括が今、出会った!
「こ、こんにちわ~」
「ふむ…これはどうも」
(死んだかも~)
だけど何かスキル対策されててもおかしくない
それで演算結果がバグっていたり…
それかこの演算は偽物で私が別のものを見せられてるだけだったりして
これにも一応弱点がある
あくまで物理法則から数秒先の予言をするだけなので物理法則から逸脱した者、通称
もちろん、そんなものはほとんど存在しない
ラプラスも数百年で一人しか会ったことがない
だが目の前の大賢者は違う
魔術で意図的に物理法則を逸脱できる
第五階級風魔法、第五階級炎魔法、第五階級土魔法
人は空を飛べないし、雨を起こせないし、地形を変えたりできない
だが大賢者はできる
どれか一つだけ起こせるなら頑張って演算できるのに
とりあえず、今日ここに大賢者が来ることは演算できなかった
気になって聞いてみる
「今日何か魔術を発動されました…?」
「む?そうだな
第五階級を二つ
雨が降りそうだったのと移動で空飛んだのでな」
「そ、そうですかー」
普通の人間なら、どちらかでMP切れるはずなんですけど
流石です
MP
マジックポイントの略
この世界には他にもステータスの概念があるのだが、それはまたの機会に
「そう言えば何故こんな所に魔王軍殿がいらっしゃるのかな?」
大賢者は目が笑っていない笑顔で質問してくる
それはそうですよね
人類の敵ですし
「まぁまぁ弟よ
今日ぐらいはいいじゃないか」
「うわ!びっくりした」
大賢者の後ろから腰の曲がった毛が一本も生えていないお爺さんが出てくる
全然存在に気づかなかった
今日の私のスキル、本格的にダメかもしれない
「しかしですな兄者…」
「どうせガーさんの友達じゃろうて
初めましてラプラス殿
ワシはこの街でレム爺と呼ばれているものじゃ」
「ど、どうも」
大賢者にお兄さんいたんだ
全然知らなかった
もしかしてお兄さんも強かったり…
全然そんなことなさそう
普通のお爺さんだ
「やはり兄者
ワシはこのままには…」
「あれぇ?大賢者のお兄さんにレム爺さんじゃない」
「ん?その声は…」
「ヴェイローズ殿ではないか!」
「わっ!びっくりした」
大賢者が今日一番に大きな声を出す
なんか鼻息も荒いな
まるで別人…
「それより!なんであなたがここに⁉」
「なんでって?何か悪いのかしら?」
「そうだそうだ!」
「大賢者がうるさいな⁉
いやいや、あなた魔王軍幹部じゃないですか!」
魔王軍幹部、色欲のヴェイローズ
朱色の体のラインがくっきりとした服…Hだ
栗色で結んである髪…首筋が見えそうで見えない…Hだ
しかも前髪は右目を隠している…Hだ
スラッとした足にボディーライン…Hだ
極めつけにはその細く鋭い目つき…Hだ
「すみません!大賢者さん!
私の脳内に語り掛けてこないでもらっていいですか⁉」
「む?
…すまない
意図せず洗脳魔術をかけていたようだ
まぁ気にしないでもらって構わない」
「気にしますよ⁉
ていうか!魔王軍幹部いるじゃないですか!
なんで私は怪しまれて彼女は大丈夫なんですか!」
「ふむ…
それは簡単なことである
ワシが惚れたからじゃ!」
「理不尽!」
大賢者さん、キャラ変わりすぎ
しかも日常茶飯事なのかレム爺さんは無視してヴェイローズと話してるし
そんなことをしているとガルガイヤーがやってくる
「ラプラス、どうした?
遅いではないか
…おお!大賢者にレム爺、それにヴェイローズではないか
ようこそ『ガーさんの家』へ」
お店を開けて数分
席は満席になっていた
「すみません!
ただいま満席でして…」
それでも列は途切れないのだから凄い人気だ
ガーさんの信頼がなせる技が、それとも
多分両方だろうけど
そんなこんなしていると料理の用意ができた
ガルガイヤーが料理の説明を始める
「今日は魔魚王の唐揚げと塩汁である
つい数時間前に取ってきた新鮮なものだ
味は保証しよう
ラプラス!運ぶぞ!」
「はい!どうぞ!」
「ふむ」
「これはなかなかじゃな」
一番初めに運ばれてきた大賢者とレム爺さんは声を上げる
一見何の変哲もない料理だ
…見た目だけは
匂いだ
香ばしい匂いが広がる
正直に言うと私もよだれが出てきそうだ
「ラプラスも先に食べるか」
「いえ!私はまだ仕事がありますし…じゅるり」
「はっはっは
無理するでない
それに今の時間が一番暇なのだ
全員に運び終えたら食べてくれ」
「分かりました」
そう言われると食べるのが楽しみになって仕事が速くなる
そうして全員に運び終わった後、自分の分も用意する
お客さんたちはもう食べている
凄くおいしそう
「それでは私も
いただきます!」
まずは唐揚げを一口
「さくジュワジュウシー!」
「そうか
そんなに喜んでもらえて我も嬉しいぞ」
食べてる感じはもも肉を使った唐揚げにプラス魚の唐揚げのいい所を合わせたよう
魚の唐揚げ特有のあのふわっと感も凄い
ご飯が進むー
じゃあ次は潮汁
汁をずずっと飲む
「んー磯の味ー」
「作るのに一番苦労したからな
喜んでもらえて嬉しいぞ」
「どう作ったんですか?」
「骨をいろいろしている間に煮込んでいた」
だからか
ガルガイヤーが作業中でチラチラ鍋見ていたのは
全部食べ終わった後はひたすら労働だった
だけどお客さんと関わるのはとても楽しかった
皆いい人ばかりでよかった
「ラプラスちゃん、とっても美味しかったよ」
「またお願いします!
ありがとうございました」
最後のお客さんのお見送りが終わった
すると肩に手を置かれる
「よし、ラプラス
貴様にも体験させてやろう
大人の世界をな!」
「…へっ⁉」
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