博士とわたしの凍り漬けの日々
@kobemi
プロローグ
人の生活にアンドロイドが浸透し始めて、もはやなんの不和もなくなり出した頃。
アンドロイド産業の発展に貢献した研究者一族の血を引く、一人の少女がいた。
少女は幼い頃からその才能を発揮してみせて、界隈では一目を置かれる存在だった。
が、不慮の事故で両親を失くしてからというもの、少女は変わってしまった。
人との繋がりをなるだけ断つようになり、今では人里離れた山奥でひっそりと暮らしているというのが、一番に有力な風説である。
なんでも、両親のただ一人残したアンドロイドと二人、あたかも前世紀のような埃を被った生活をしているらしい。
そんな風にして、これからのために活かされるべき才能が遊ばれていることを知った人達がいて、その人達の働きかけもあって、少女と、ついでにそのただ一人、どこか特別そうに思えたアンドロイドは、彼女達の意思に関係なく、だんだんと社会復帰をしているようだった。
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