第7話 決めつけと突き放し
「……え?」
「とぼけるな!! お前が監視役達をどこかに連れ去ったのだろう!! 監視役を今回はきちんと監視を行うものを当てがったが、仇となったか」
「何も知りません」
「そんなはずがないだろうっ!! もう何度目だ!!」
翌日のこと。子羊の護衛隊の指導室に呼ばれたフォルは、部屋に入るなり指導官長に大声で怒鳴られてしまいました。
ピトラを含む、昨日までフォルについていた監視役達6名が夜の間に姿を消したらしいのです。指導官長はフォルの仕業だと決めつけていますが、フォルには心当たりがありません。知らないと答えるしかないのです。
フォルの監視役が行方不明となるのは初めてではありません。だからこそ、指導官長の怒りはかなり高まっていました。
「もういい。お前のような者がこの施設にいれば、いずれ人員が全て消えてしまいそうだ」
「……?」
”もういい”、”この施設にいれば”。その言葉を受けて、フォルは考えを巡らせました。そうですね、その言い方だとフォルを子羊の護衛隊の施設から外に出すつもりような口ぶりです。
「次の外部の任務を受けろ。成功できなければ即刻処分だ。いくら魔力が高いとはいえ、それを正しいことに使えないものは生かしておけない」
「…………」
「隣国の姫の護衛だ。三週間後に行われる姫の生誕とお披露目式で暗殺するという脅迫状が届いている」
なんと、これまで外での任務は一切フォルに回って来なかったというのに、いきなり任されることになったのです。それにミスをすれば即刻処分。つまりは姫を守りきることができなければ、フォルを殺すという脅しです。
「(なぜ、……僕に)」
フォルはこの状況をあまり理解しきれていませんでした。子羊の護衛隊の中で、フォルはナインシールズの六番盾という称号を得ているとともに、罪人として扱われています。
今も自分につけられた監視役を行方不明にしたと決めつけられているところです。その何をしでかすか分からぬ罪人に、隣国の姫の護衛という重要任務を任せるでしょうか?
もしも隣国の姫が殺されれば、この国もただではすみませんし、子羊の護衛隊という団体の実績にも傷がつくはずです。必ず守られる鉄壁がついに破られ、これまで積み上げていたものを崩して信用を失うことになります。
それともミスをすることを望まれているのか、フォルは疑問を抱く間も話を進められてしまいました。
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