第6話 真相のしっぽ

 その威力を検知してやってきた子羊の護衛隊の施設の者たちは、すぐにフォルに事情を聞きました。しかしフォルは何が起きたのか分からず呆然としています。遅れてやってきたトウニスはその状況をすぐに察してフォルにわかることだけを尋ねました。

 フォルはテーブルに着こうとしたらこうなっていたと告げました。それを聞いたトウニスはすぐにフォルを休ませました。


 そしてトウニスの報告により、リーズハウスの近くに設置されていた魔力増幅のための装置とフォルの魔力が強く反応してしまい、今回のことが起きてしまったのだと結論づけられました。

 しかしそれは一時的なことです。結局子供達は行方不明。しまいには死んだものとされ、数日検証が行われました。現場の痕跡から細かくある可能性が辿られ、この一件は“プール”による襲撃である可能性が高いとされました。


「プール……それって子羊の護衛隊を潰そうとしている連中じゃ……」


 その場合プールは魔力増幅装置を設置し、フォルの魔力を暴走させて今回の事件を引き起こしたことになります。



 しかし、それはあり得ないとされます。



 プールの者は子羊の護衛隊の敷地に足を踏み入れることができません。魔力増幅装置を設置した者が中にいなければこの襲撃は成立しないのです。


 子羊の護衛隊の中にそんな者はおりません。

 よってフォルが意図的に引き起こしたものであるという結論となりました。


 資料の最後にはこうかかれていました。



 “しかしながら調査員達はそれでも外部の犯行である可能性を諦めません。ただし、この件を調べていた者は次々に消えていきます。

 それが一つの答えであることを我々は覚悟して受け止めなければいけないのかもしれません。”



 それを見て、フォルから聞いた言葉を思い出しました。



 “できることなら、何も探らず、知ろうとせず、指示に従って欲しい”



 ピトラには、真相に近づく人物達をフォルが遠ざけているように見えました。

 もし知ってしまえば、その人物は消えてしまうかもしれないから。


「……そんな。それじゃあ悪いのは……」



 ガタリ、先ほどまで静かだった空間に音が響きました。



 ピトラはすぐに入り口に目をやります。しかし誰もいません。




「……?」


 しかしそのすぐ後にピトラの口は何かに覆われます。暴れて逃げようとしますが、相手は大きくて力も強いです。

 嗅いだことのないような匂いに感覚が鈍くなり、程なくしてピトラは意識を失ってしまいました。

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