無機物の心

第1話 虚空だった生活


 この世界を作った神様は、さぞ性格が曲がっていたのだろう。なんせ、この世界は"能力至上主義"と言われるとんでもない世界なのだから。



 僕は、一人だった。都でも、王都でも、はたまた小さな村に住んでいるのではなく、町外れの森の中に住んでいた。

 そんな場所で、僕は無駄に広い家でのうのうと暮らしていた。もちろん能力がある世界だから僕にも能力と呼べる能力は備わっている。


だが、僕の能力というのは少々めんどくさいのだ。

故に鍛えるとかそういう話にはならない。



突然だが、僕の名前は天塚(あまつか)白(はく)という。


この名前は僕の両親たちがつけてくれた名前。それは間違いない。だが、僕には両親の記憶なんて欠片も覚えちゃいない。


 なぜなら両親は僕が物心つく前に亡くなってしまっているからだ。

 けれど、僕にはもう一人家族と呼べる存在がいて、唯一記憶に残っている人がいた。



その人物は、僕の姉、天塚(あまつか)光(ひかり)だった。


光姉さんは僕とは4つ年が離れていて、いつも気が弱く、臆病だった僕を守ってくれている存在だった。



 ふと、部屋の周りを見渡してみる。そこには昔光姉さんが僕のために買ってくれたおもちゃなどといったいろいろなものが散乱していた。



 僕が「小さいころ光姉さんと一緒に使って遊んだボール」、「光姉さんが僕のために自作してくれた鉛筆」、そして、「僕が欲しいと言って買ってくれた小さな三輪車」。

 他にも挙げだしたらキリがないほど光姉さんは僕に尽くしてくれて、僕に愛情を注いでくれていた。



特に三輪車なんかは僕がなかなかうまく進めない所を後ろから補助して押してくれたりして、


とにかく、僕の後ろにはいつも姉さんがいて、僕はとても安心できたし、とても楽しかった。



それに加えて、姉さんは多彩だった。特に姉さんの能力は僕の記憶ではかなり強かった気がする。



 だけど、1年前、姉さんは忽然とその姿を消した。僕に、すこし仕事で出てくると言って家出た。そして、僕は姉さんの帰りを楽しみに待っていた。

 でも、姉さんはいつまで経っても帰ってこなかった…。


 それからというもの、僕は何事にもやる気を見出だせなくなっていた。

 一人で朝起きて、一人で朝食を食べて、一人で適当に過ごして、そうして一人で寝る。


 僕はこの孤独な生活がどうしようもなく苦しかった。



「光、姉さん…」



思わず、姉さんの名前を呼ぶ。だが、その一言も静まりかえっている広い家の虚空に響くだけだった。



 僕は、姉さんがいない生活ももちろん嫌だったが、それ以上に"孤独な生活"というものがどうしょうもなく苦しかった。

 だけど、そんなことを思っても現状なにも変わるわけがなくて、僕はいつも通り、一人で就寝しようとする。



「家族が、ほしい…」


ベッドに入ってすこし天井をみていると

思わず無意識にそんな言葉を僕は吐き出していた。



「話相手が、ほしい…」

「人の温もりがほしい…、」



ポツポツと、そんな願いを、叶わぬ願いを口にする。



「一人は、嫌だよぉ…」



僕は涙ぐみながら心からの本心を吐露する。


そうして、いつの間にか。僕の意識は深い闇に落ちていくのだった。






朝、僕は鳥のさえずりを聞いて目を覚ます。すこし目をこすりながら上半身をあげる。


ふと、違和感を覚えた。どこからか消え入りそうな寝息が聞こえてきたのだ。しかも、それは僕の横から聞こえたような気がして…。



僕は恐る恐る横を見る。すると、そこには僕と同じくらいの大きさの小柄な可愛らしい女の子が静かな寝息を立てて眠っていた。



「………え?」



思わず思考が停止する。そりゃそうだろう。だって朝起きたらそこには、知らない"女の子"が横で寝ていたのだから。


 僕はなんとか冷静さを取り戻して思考する。なんで僕のベッドに女の子が??

 この家には僕と光姉さんしか住んでないはずなのにしかも僕は記憶の限りこの女の子を知らない。


 そうだ。これは夢だ。夢に違いない。そう思った僕は自分の頬を思いっきりつねる。めちゃくちゃ痛かった。

 けれどこれだけの痛みならば夢からは覚めただろうと思って横をみたら、安定した寝息を立ててその女の子は未だに眠っていた。



「はぁ、もういいや…」




 考えるのもめんどくさくなった僕はとりあえず二度寝することにした。目を瞑った瞬間ぼくの意識は急速に落ちた。

 けれど、次に二度寝から覚めて目を開けると、



「あ、起きた♪」



さっきまで横で寝ていた女の子の顔が目の前にあったのだ。それはもうキスしてしまうんじゃないかという至近距離で。



「うわぁぁ?!!」



びっくりした僕は思わずそんな大きい声をあげてしまう。



「ちょっとはーくん、朝からそんな大きい声出さないでよ。耳にキーンときちゃったじゃん」



「え?ご、ごめん?」



自らの手を耳に当てぶつくさ文句を言ったその女の子に僕は困惑しながら思わず謝る。



(ん?はーくん?)



 その時、誰かがこの部屋に向かってきている足音がした。この家には今は姉さんがいないから僕だけのはず。 

 じゃあ、一体だれ?まさか、賊、とか…。


 そうして、その寝室の部屋の扉は開かれる。そこから出てきたのは僕より少し身長が大きくて大きな包容力をもってそうや優しい雰囲気をもつ女の子だった。




いやいや、ちょっと待ってよ!

意味がわからない。なんで知らない女の子、しかも2人も一気に現れるの?!  



僕が何がなんだがわからず混乱していると、部屋にはいってきた少女は言う。



「はーちゃん、おはよう♪よく眠れた?あとミキもおはよう。」



なんかそんなことを言ってきた。

え?はーちゃんって誰?もしかして僕のこと?



「え、お、おはよう、ございます?」



僕がそう言うとその人は優しく微笑んだ。そんな顔を見た僕は姉さんと重ねてしまってすこしドキッとする。



「ちょっとリリー、はーくんがメインなのは分かるけどミキのことをついでみたいに言わないでよー」



「実際ついでだからしょうがないでしょ?私には

はーちゃんがすべてだから」



「はぁ?はーくんはミキのものだから!変なこと言わないで!」



 そう言いあう2人の女の子はどんどんヒートアップしていく。

 止めようと思ったが、僕は朝から何がなんだが分からなくて混乱することしかできなかった。


その時、




「おい、そこまでにしろ、はくが困ってるだろうが。」



また一人知らない人が現れるのだった。







こんにちは!さくしゃです♪

今日から新シリーズを開始しました!


即興で思いついたものですがなるべく読者の皆さんに面白いって思ってもらえるよう努力するつもりです!



第二話も近いうちに投稿すると思います!

また、下手な宣伝ですが他に連載中の「未来から来た娘は実は超絶パパっ子?!」も見てくれると嬉しいです!




新シリーズ"無機物の心"をよろしくお願いします!













 

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