第24話 二度目の魔王討伐
フェリクスたちの完全回復にもう一日使い、俺がここへ転移して四日目の朝。元凶となっている魔王を討伐することに。
「ソウタ、作戦は?」
「前回と同じだな。とりあえず魔王の位置を把握して魔王の頭上へ転移。結界で囲ったあと特大魔法で消し炭だ」
魔物の増加は異常だ。今回も魔王の体から魔物がうようよと生まれているに違いない。増加した魔物はシャノンに任せ、俺とフェリクスで魔王にとどめを刺す。
前回同様、短期決戦だ。
「俺もあれから修練を重ねたからな。防御魔法は任せてくれ」
「俺も体が絶好調っすから雑魚は任せるっすよ!」
ただ一点不安要素がある。前線を押し上げ、かなり向こうに広範囲の結界を張っているのだが、魔王と対峙した時に特大魔法を撃ちこむ予定だ。その時結界が綻び魔物が侵入する可能性がある。
複数の魔法を管理することはできるのだが、魔王相手になった時にそれをどこまで維持できるかわからない。
「ソウタさん、僕たちに任せてください。ここは僕たちが死守します」
「うん。モーリスくんたちに任せたよ」
魔物がまた襲ってきたら、キャンプ地にいるみんなが討伐してくれることに。モーリスくんも本当はシャノンと一緒に行きたかっただろうが、モーリスくんにはこっちを守ってもらうことにした。きっと、彼なら上手くやってくれるだろう。
それにキャンプ地のみんなもしっかり休めたことで気力も体力も十分。きっと最高のパフォーマンスを見せてくれるはずだ。
「よし。行くか!」
俺は一度結界が張られている最前線へとみんなで転移した。
結界の向こう側は相変らず増えた魔物たちでうようよとしていた。結界に攻撃を仕掛けており、なんとかして破ろうと必死だ。
そんな魔物を一旦無視して、俺は結界の向こうへ探索魔法を広げていく。魔王を見つけるためだ。薄く広く広げていくと強すぎる反応を見つける。魔王だ。
「……最悪だな。魔王の反応を見つけたが、数は三体だ」
「は!?」
「なんと……」
あの魔王が三体。これじゃ復活したというより、新たに生まれたと考えた方が自然だろう。でもなんでこんな三体も魔王が生まれたんだ?
「ソウタ、魔物は隣国のジュリヴァ王国から流れてきている。前回の魔王もジュリヴァ王国の端にいた。もしかしたらだが、ジュリヴァ王国が関係しているかも知れない」
「なんだって?」
隣国が関係しているかもしれないだと? それが本当だとしたら一体どういうことだろう。それにこの魔物たちの数を見るに隣国は無事なのだろうか。
「隣国のことは気になるところだが、まずは魔王を倒してからだな。一体ずつ倒せればいいんだが、二体の魔王が一か所に固まっている」
一体ずつなら前回同様で上手く行くんだろうが、二体同時となるとかなり厳しいぞ。魔物の生まれるスピードも二倍になるし、特大魔法も二体分必要だ。
一体だけでも衝撃がすごかったのに二体となるとその衝撃も倍になる。
「ソウタ、二体の魔王の内、一体は私が引き受ける」
「フェリクス?」
「私もただ遊んでいたわけではないよ。魔法をかなり研究したし、この世界の人間が魔王を消滅できるようになっておかなければならない」
もちろん元々の魔力量も関係するが、やり方次第ではこの世界の人間でも魔王に対峙できる。それはこの世界にとってこの先の希望となる。
フェリクスは俺みたいに無関係な人間が、魔王を討伐するために無理やり召喚するようなことをなくしたいんだそうだ。
そのためにはまず、フェリクスがひとりで魔王を消滅させる必要がある。
「じゃあ一体ずつ、同時に魔王に極大魔法を撃ちこむぞ。そのあとすぐにダグラスの防御魔法を展開させて、フェリクスはその防御魔法を最大限まで強化。俺はその上から強い結界を張って二重でブロックする」
恐らく地響きもすごいだろうし不安定な場所での魔法展開になる。少しでもタイミングが遅れれば俺たちまで衝撃に呑まれる可能性だってあるんだ。失敗は許されない。
「ああ、大丈夫。私たちならやれるよ」
「うん、頼りにしてるぞ」
じゃあまずは魔王を一体倒してしまおう。そのあとに二体同時に殲滅だ。じゃ、最初は目の前にいる大量の魔物から片付けるか。
俺はまた空全体に広がるように雷魔法を展開。それを一気に魔物たちの頭上へと降らせる。ドーン! と相変らずすごい音と閃光が走るが大量にいた魔物たちは一気にその姿を消した。
「魔王のところまで飛ぶぞ!」
全員で一体の魔王の頭上へと転移。すぐに足元に結界を張って足場を作る。下を見下ろすと、以前と同じ黒いぶよぶよした魔王が次々と魔物を産み落としていた。
俺はすぐさま魔王を中心に広範囲に結界を展開。また雷魔法で一気に魔物を殲滅させると下へと転移した。
魔王から魔物がまた生れ落ち、すぐさま俺たちへ向かって襲い掛かってくる。だが補助魔法をかけられたシャノンは目にもとまらぬ速さで魔物を斬り伏せていた。
シャノンのやつ、また強くなってないか? いくら補助魔法がかけられているからとはいえ、以前とはスピードが段違いに速くなっている。
こいつもまた、魔法を使えないなりに研究して頑張ってたんだな。きっとそこにはモーリスくんの力もあったんだろう。
フェリクスも生まれてくる魔物に突撃し、次々と討伐を繰り返している。俺の前にダグラスがいて魔物から守ってくれているが、フェリクスの活躍もあってこっちまで流れてくる魔物はほとんどいない。
「ダグラス、頼んだぞ」
「ああ、任せてくれ」
俺は魔王の頭上に魔法を展開する。こいつも再生能力があると見て、前回と同じ魔法だ。浄化の魔法を具現化させて大きな槍を作る。その周りを炎と雷でガンガンに巻き付けてやれば、バチバチと大きな火花が飛び散る見るからに恐ろしい魔法の槍が完成した。
「行くぞ! 全員退避!」
俺が声をかけるとフェリクスもシャノンも一斉にダグラスの後ろへと回り込む。二人が避難した直後、俺は極大魔法を魔王に向かって振り下ろした。
ドーン! バリバリバリィ! と強い衝撃と振動、そして眩しすぎるほどの強い光が俺たちを襲う。だがフェリクスがダグラスの防御魔法を強化し、俺もその上から結界を張り巡らせたことで衝撃波は届かない。だが大きな地響きは直撃し、立っているのもやっとだ。
そこでダグラスを後ろから支えるように腰のあたりに抱きついた。フェリクスも同じようにしてくれたことで、ダグラスは倒れることなく防御魔法を安定して展開している。
そして衝撃と地響きが収まったあと、魔王の姿は消えていた。まず一体目の討伐完了だ。だが。
「まずい。やっぱり向こうで広範囲に張った結界は破られた」
こっちに集中して魔法を展開したことで向こうの大型結界は緩み、そこを魔物が攻撃して突破されたらしい。結界魔法の反応が消えてしまった。
「大丈夫。向こうにはたくさんの精鋭たちがいる。ソウタのおかげでみんなしっかりと休めたし体調も万全だ。きっと凌いでくれるよ」
「そうだよな。よし。早いところ、俺たちも決着をつけてしまおう」
とにかく今は魔王を討伐することが先決だ。そうすれば魔物の増加は止まるのだから。
一度全員の状態を確認すると問題ないとの返答。それを受けて、俺たちは二体の魔王が待つ場所へと転移した。
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