なぜかニート魔族が魔王になったと聞き黄泉から出掛けます!!

モニル(璃霊)

プロローグ1  魔族領にて

一昨年、三代目となる魔王が、激闘の末、一人の人間によって討伐された。


人間にとって憎い者でしかない魔族。


その王が、人間の手で討たれたのだ。


魔王を討伐した人間は、「勇者」だと称えられ、礼として、高い身分や豪華な財宝、伝説の武器まで与えられた。


一方。


魔族領では、それから毎日難しい会議が行われている。


おそらく、四代目を誰にしようか、そのような内容だろう。


その様子を、部屋の窓から一人の少女が暇そうに頬杖をついて見ている。


少女は太ももまで伸びた銀髪を揺らし、ベッドに寝転がる。


真っ青な瞳も、自分の退屈さを語っている。


生まれてこの頃、全く私を感心させるような出来事が起こらない。


少女はそんなことを思っているだろう。


けれど、魔王が死んだ。このことは彼女を少しワクワクさせただろう。


彼女は城で贅沢な引きこもり生活を送っているが、魔王が死んだ今、魔族領はとてつもない貧困状態だ。


が、貧困など、彼女は知る由も無い。



まだ千年しか生きていない。


彼女はそう思っているだろう。


けれど、魔王が衰えるのは、一般的に五百年から。


彼女は特殊で、人間で言うと十代、プラス魔族の強力な力を保っていられる。


これは周りの魔族達も不思議がっていることだ。


平民が特殊能力を持っていれば、間違いなく処刑されるが、次魔王候補の娘だ、そう簡単に処刑する訳にいかない。


そんなことで、ずっと生かされているのだろう。


早く殺してくれても良かった命なのに。

そう、彼女は時々思う。


何せ、この少女にとって、「ばばあ」など馬鹿にされるより嫌なことなどない。


五百年前から現在まで、ずっと馬鹿にされてきた。


それにも、もう嫌だし飽きたのだ。


しばらくそういったことを考えながら、少女は眠りにつく。

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