解決編⑤

トベ「いえ、すみません。自分で自分のことを自慢と言うのは嫌な話なので、ノロケ話としておきましょうか。ノロケ話を聞く場合は、余計な茶々を入れず、適当な相槌だけでも良いかもしれませんよ。」


ノココ「そっか…。私はずっとノロケ話を聞いていただけだったのか…。」


トベ「では1対1で話を聞きましたか?」


ノココ「数人で話を聞いていたけど…。」


トベ「なるほど!わかりました!この話にモリーが存在しないと、みんな違ったイメージをするはずです。3人か4人か?例えば3人でイメージした人は、二股を狙うチャラ男。4人でイメージした人は、ダブルデートを企画した純情男の部長。だからみんなマージィの語る男のイメージがバラバラだったんです。しかしそもそも実際に誘ったのは、マージィ本人でした。おそらくカーラが、僕の気持ちを確かめるためです。ちょうど僕とモリーもダブルデートを企画していたため、そのままマージィの誘いに乗ったんです。よって恋愛相談という名の単なるノロケ話を聞いた人たちは、誰も真実にたどり着けなかったんです。」


とんでもない叙述トリックだ。


カトリ「これまでイメージしていたタママ君の性格を考えると、タママ君の話の方が信憑性があると思う。」


中立的な審判として、そう判断するカトリ。


トベ「では仮にモリーを消した黒幕がマージィだとしたら、なぜマージィはモリーの存在を消したのでしょうか?お2人はどう思われますか?」


沈黙が続く。


トベ「マージィはモリーが嫌いだったのでしょうか?それだけなのでしょうか?」


マージィとモリーという親友2人の関係にすら、トベは気づかなかったのだろうか?知りたくもない真相にたどり着いた気分だが、トベには心当たりがあったという。


トベ「今となっては何が真実かわからないので、誰かの何かのせいだと決めつけないでほしいです。僕も含めて関係者が、みんな無自覚で、多かれ少なかれ加害者だったり、被害者だっただけです。」


ノココとカトリは、1番の被害者はマージィではなくトベだと考え直す。結果的にトベについて有る事無い事、何でもかんでも噂を流されて、トベはかなり風評被害を受けていたからだ。


ノココ「もうここまで聞いちゃったら、マージィさんが黒幕でしかないよ。タママは1番の被害者だよ。マージィさんに消されてしまったモリーもかわいそうだけど、タママが誰かを庇って傷つく必要はない!」


トベ「実は今日の話の中で、僕も嘘をついて隠していることがあります。」


ノココ「タママのついた嘘ってのは、もうわかってる。マージィさんが話していたタママがマージィさんをかっこよく振ったことは、現実にあったんだと信じてる。あれはマージィさんの作り話とは思えないし、それに今日のタママの話し方にそっくりだもん。それがタママの優しい嘘なんだよね?好きな人の親友の存在を消す人なんて、振って正解だよ!」


ノココとカトリは、そう信じたいようだ。しかしトベは何も答えず、ただ悲しい顔をしている。


カトリ「これからみんなとの関係は、どうするつもりなの?」


トベ「これまでと同じように接するつもりです。ただし今日聞いたことは、頭の片隅にでも入れておきます。この謎を解くためのパズルのピースが足りないから、そのままにしておきましょう。最後のピースが埋まるその日まで。」


マージィの周りにいた全ての人たちは、みんな騙されていたのだろうか?もしかしたらマージィを振ったトベだけが、最初から何か違和感に気づいていたのかもしれない。


トベ「大会の写真に写っている呪怨の子役を、後で確認しておいてください。それでみなさんが想像している話が、真実ではないと証明できます。」


ノココ「ここまで聞いたら、タママの親友のモリーは絶対いるに決まってる!そんなこと、何も見なくてもわかる!親友がいないことにされて辛いよね。私のせいでタママを傷つけてしまった。タママを慰めたい!」


ノココはそう叫ぶ。


トベ「大丈夫です…。誰も悪くないんです…。ただみんな勘違いをしていただけですから、もう気にしないでくださいね。」


そう言ってトベは、お礼だけ言う。そして少し冷静になるノココ。


ノココ「そっか…。私じゃない方がいいよね…。絶対に誰かに慰めてもらいなよ!」


そのままトベは、その場を去る。


こうしてマージィとトベの物語は、後に一部では「伝説」と呼ばれるようになる。そしてまさに伝説のように、日本語話者を中心に数百人規模で長く広く語り継がれることとなった…。

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