第9話

ぼくは我に返った。

――しかし、左手は止まることを知らない!


「しまった! 毛の処理済みだからバレたのか!!」

と、心の中で後悔する。


刑事は深く息をつき、ぼくの見を見て言った。

「うんうん、分かったからね。おじさんと警察いこうね」


若い女性は叫ぶ。

「はよ、連れてってー! やばいこいつー!!」


刑事は次に女性を指差し、冷静に告げる。

「あんたも持ち物と陰毛の確認や!」


女性は悲鳴をあげた。

「ひえーっ! 持ち物は分かるけど陰毛はやめてー!」


車内はもはや推理の緊張感も、スリ事件も完全に消え失せ、奇怪な現場劇場になっていた。


そして、この奇怪な事件は、笑いと混乱のまま綺麗に幕を閉じたのだった。


若い女性の最後の叫びが、車内にこだまする。

「こいつを早よ、連れてって〜!!」


ぼく(茂雄)は、つり革を握りながら心底思った。

――正義とは儚いものだ……。




その後、ぼくの「おしりなでなで攻撃」は、なんと示談金で解決。💸

スリ犯は結局、サラリーマンの男で、パチンコで負けた腹いせだったとか。


あの若い女性は、今日一日で散々な目にあった。


刑事には疑われる


陰毛チェックされる


おしり触られる



世の中って、ほんま理不尽やな……。

「みなさんも気をつけて!」と、心の中でつぶやくぼく(茂雄)。


若い女性は最後に怒鳴った。

「お前がいうなあ!!!!💢」


そして、奇怪でぶっ飛んだ事件は、こうして幕を閉じた。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

揺れる車両と秘密の筋肉 しぶすきー @NABUSUKIII

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ