@mouthperson

第1話

人にもよるが、丸みを帯びた美しい曲線美に惹かれる。薄い口は好ましくない。尖があると尚よい。反射した赤みが気分だ。歯は大きい方がいい。歯茎は隠れている方が興奮する。どちらでもよいが。


口に執着をするようになったのはいつからだろうか。明確なきっかけは思い出せないが、初めてのキスからだろうか。なんの変哲もないものだったと記憶しているが、忘れられないことだけはわかる。相手の容姿は非常に満足できるもので、それに対しての幸福感も間違いなくあったが、それ以上にしっかりと生活感のある歯をしていたことが何より良かった。その生活感の虜になった。綺麗なものに生活感や汚さがあるとそこに美を感じざるを得ない。そういう性分になってしまった。


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