感情ボタン

クライングフリーマン

感情ボタン

 ================= 飽くまでもフィクションです ============

 疲れてるのかな?

 ファミレスに入った。

 テーブルの上に『ボタンを押してください。』と書いてあった。

 呼び出しボタンらしいボタンを押した。

「はい。」

「あ。イチゴチョコイチゴ氷。」

「お1つですか?」

「はい。私の分はないんですか?」

 不思議に思いながら、「あ。じゃ、2つ。」と応えた。

「惚れてまうやろー!」と言って、ウエイトレスはスキップして戻って言った。

 暑い。今年の夏は暑い、長い。

 暫くすると、ウエイトレスはイチゴチョコイチゴ氷を2つ、トレーに載せて俺のテーブルに来た。

 そして、さっさと俺のタブレットや書類を隅に追いやり、俺の左側に座った。

 更に、『自分の分』を食べ始めた。

「食べないの?」

「ああ、食べるよ。」

 ここ、メイド喫茶に変わったのかな?

 そう言えば、暫く休業していた気がする。

 食べきる前に、ウエイトレスはキスをしてきた。

「キス、5万円。」「え?」

「う、そうー。」「だよね。」

「セックス、50万円。」「う、そー、だよね。」

「ホントだよ。」

 そう言って、ウエイトレスは俺の尻ポケットから財布を取り出し、札束を数えた。

「・・・48万円。残念。『今日は』セックスなし。」


 ウエイトレスは行こうとして、立ち止まり、また来た。

「ね、ボタン押してみて。」

 不審に思いながら、呼び出しボタンを押そうとすると、「違う、ここ。」と言って、ウエイトレスは俺の膝の上に乗った。

 よく見ると、エプロンの2番目のボタンに『惚』と書いてある。

 またまた不思議に思いながら、俺はエプロンの『惚』ボタンを押した。

 かすかに、乳首を触ったような感触があった。

 やっぱりメイド喫茶風ファミレスか。あ、ファミレス風メイド喫茶?

「48万円で負けといてあげるよ。」

 そうして、ウエイトレスはエプロンを取り、ブラウスを脱ぎ、ブラ・・・あ。人形っぽい。

 これ、俺がデザインしたアンドロイドとそっくりだ。

 胸の部分がスライドして、ディスプレイが出てきた。

 AVの再生が始まった。


「はい。はい。熱中症かも知れませんね。変な脂汗かいた跡があるし。」

 ファミレスの駐車場を通りがかった通行人は、救急隊員に説明した。

「車の冷房壊れているし、窓開けてないし。事故死と言えば事故死かな?笑ってるな。昇天だな。」警察官は、両手を合せた。

 救急車は去って行った。

「ここ、半年前に閉業したのに。」と、通行人は言った。



 ―完―



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