最終話:ライブ配信
ライブ配信チャンネル名:ドッキリ探検隊【公式】
配信タイトル:フリマアプリで呪物売ってみたら大変なことに!!!
[冒頭・19:00]
(夜の神社。境内の鳥居の前でカメラに向かって話し始めるライブ配信者T。笑顔で両手を広げる。)
T:「どうもー! ドッキリ探検隊です! 今日はですね、ライブ配信ということでですね、ガチでヤバい企画を持ってきました。題して『フリマアプリで呪物を売ってみたら落札者が集まっちゃったドッキリ』です!」
(カメラに向かって両手でピースサインを出すT。背後の鳥居は街灯に照らされ、不気味な影を落とす。)
T:「実はですね、この間から『日本人形』『白布』『骨』『鈴』って、いかにも怪しいアイテムを立て続けにフリマアプリで出品していてですね。で、落札者さんに送る時に、こっそりとここの場所と日時が書かれたメモを同梱しておいたんですよ。ここ、俺の実家の近所の神社なんですけど、なかなか雰囲気出てるでしょ? ここで儀式みたいなことをみんなでやったら、もしかしたら面白い絵が撮れるんじゃないかって思って、半分ネタだったのに……なんと、全員来てくれているようですよー! やばくない?」
(カメラを振ると、境内の奥に4人の人影が立っている。全員マスク姿で、手にそれぞれの呪物を抱えている。)
T:「あれがね、例の落札者の方々だと思われます。よしよし、みんなそれぞれ自分の落札したアイテムを持参してくれているようですね。人形、布、骨、鈴……全部揃ってますね!」
[19:10]
(4人が円を描くように座り込む。中央に日本人形を置き、白布を敷き、その上に骨と鈴を並べる。鈴が小さく鳴るたびに、マイクに金属音が響く。)
T:「お、どうやら4人で何かを始めるような感じですね。呪いの儀式でも始めるつもりなのかな? はいはい、演技力あるなぁ。すごいよ、これ。俺、こんなの頼んでないんだけど、全部アドリブでやってるのかな?」
(4人が手を大きく広げて繋ぎ、目を閉じて何かを呟き始める。マイクで声を拾おうとしてTがさらに近づいていく。)
落札者たち(低い声で一斉に):「──この身、この声、この血を捧げ、縁を繋げ……」
(声が重なり、空気が震える。カメラがわずかにブレる。)
T:「お、おい……なんだよ、これ? え、ガチ? いや、違うだろ。わかった、逆ドッキリってやつなのかな。この人たち、みんなで俺を嵌めようとしてるんだろ?」
[19:15]
(日本人形の目が画面越しに光を反射し、まるで視線を返すように映る。白布が勝手にひらひら動き、骨はカチカチと地面に鳴り、鈴が連動してチリリと鳴る。)
T:「おい、やめろって……。誰だよこんな台本考えた奴? 笑えないよ、ほんとに!」
(4人のマスクの下から、同じ女の声が漏れる。「捧げよ……」と繰り返す。声は重なり、境内全体に反響する。)
(Tが一歩後ずさる。カメラの映像が揺れ、ノイズが走る。)
[19:20]
(4人が同時に立ち上がり、儀式の中心に置いた日本人形を抱え上げる。人形の首が不自然にカクンと傾き、カメラを見つめる。鈴が激しく鳴り響く。)
T:「やべぇ……ちょっと、近寄んな! おい、待て──」
(4人が白布を大きく広げ、カメラに覆いかぶせるように突進してくる。骨の砕ける音、鈴の狂ったような連打音が混じり合う。)
T(絶叫):「なんでだよ、俺は仕掛け人だぞ! 冗談のつもりで……! やめろォ──!」
(カメラが地面に倒れ、砂利のアップ。黒い影が画面を覆う。ノイズ音が数秒続き、映像は強制終了。)
フリマアプリ さかもと @sakamoto_777
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます