京太郎とは、話がとても合った。

 京太郎とは、話がとても合った。話しても話しても次の会話が自然と湧き出てきて、時間があっという間に感じた。京太郎は歳上だけれど無職だった。新卒で入った職場でずっと勤めていたものの激務で調子を悪くして、社会人復帰のサポート施設のような学校に週数回通っていた。一人暮らしの部屋を引き払っての実家暮らしで、多少の貯蓄はあるようだった。

 大抵、僕の休みの日に週一くらいで会って、平日の昼でも予定を合わせやすかったのが良かった。ランチをして、時々セックスをして、近場の街中をあてどなく歩いた。何をしなくても話しているだけで楽しかったし、京太郎も多少の好意をもってくれていたと思う。

――帯状疱疹になっちゃった。移るからドクターストップでしばらく会えない。ごめん。

 帯状疱疹は中年になりやすい病気だと思っていたけれど、京太郎はまだ三十代後半だ。

 僕がちょうど激務で、誰かの支えがささやかに欲しかった期間に会えなくて、会えないにしてはメッセは筆まめでもなく、返事も極めてゆっくりだった。

(暇なんじゃないの?)

(新しい病気にまでなって返事すら遅いってどういうこと?)

 正直な僕の頭はそう言っていた。好きで病気になったわけはないし、筆まめでないのもそういう性質というだけなので、理不尽なのは分かっている。ようやく会えても、京太郎は自然体でへらへらしていた。

「病気しんどかった~。」

(会えなくても日々の京太郎の一言があればもっと疲れも楽だったのに。)

 しんどかったのは激務の僕のほうだと、京太郎にふつふつと怒りが沸いてきた。

「僕も忙しくてしんどかった。」

「そうだよね。お疲れ。」

 京太郎は、お互い様だねといった顔をしている。京太郎は親友なら良かった。親友でいればきっと仲良く続けられる間柄だった。

――京太郎とは友達に戻りたいと思った。恋人としては別れよう。

 メッセで伝える。既読がつく。

 返事は来ない。

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