色んな人間がいて、とてもいびつなこの世界で、僕はよくもまあ生き続けていられているなとつくづく思う。
色んな人間がいて、とてもいびつなこの世界で、僕はよくもまあ生き続けていられているなとつくづく思う。相変わらず人と接するのは好きじゃないし、ストレスに感じる。健気に頑張っていた人付き合いも、諦めとともに数が減っていった。人生の楽しみをそこに見出だしているようでは僕にとっての幸せはやってこないと三十路あたりで確信した。ホモとしての話をするけれど、二十代や三十代の初め頃までは周りのホモと同じように仲間と関わることで、少しの安心や少しの充実のようなものを感じもする。子を作らなくても連れ合いはいたほうがいいと思う。人が苦手でも一人きりで生きていくのはなかなかシビアだ。ただそれだって、いつどちらかがいなくなるか分からない。依存ではなく、旅の同志のように日々の自分を見せ合って、二人旅が終わっても旅を続けられるように備えはしておくつもりで。喜びも悲しみも、本当の形で他人は共有してくれない。他人の苦しみも慰めることはできても、一緒に負担こそしてくれない。
「小島さんは大器晩成っていうか、段々良さが深まるタイプなんだよ。」
親友の坂元さんいわく。そのつどの付き合いをうまく継続させられずに、いつもフェードアウトさせてきてしまったなと思う。大器晩成なのに(笑)。でもやっぱり、あんまり人付き合いが好きじゃないということに尽きると思う。本質的に。
「小島ちゃん、人付き合い切ってくタイプって言ってたじゃん。私のことも切っちゃうんだよ、きっと。」
親友の森田さんいわく。でもモリさんのことは切っているつもりないよ。モリさんとはもうそんなに会うことはなくても、気持ちのうえでは大事にしている。
「あなたがサービス業をしていることが不思議。事務職とか就くタイプだと思ってた。」
母いわく。自分でもそのほうが自然だと思う。人が好きじゃないのにサービス業なんてと思う。母には、苦じゃない仕事に就きなさいと言われた。生活の多くの部分を働く時間が占めるのだからそれが苦痛ならつらいだろう、と。あくまで労働として、何かやりがいだとか楽しみだとかを感じられるのは大切だろう。正直、働きたくはないし、仕事中に疲れもするけれど。
「小島さん、感じがやさしいしサービス業向いてると思うわよ。」
本当に好きなことだけを仕事にするのは難しくても、向いている仕事に就くことなら意識しだいできっと皆できる。慣れていけば考えることは増えるけど、仕事はやりやすくなると思う。
「私も人と接するの好きじゃないよ。何でこんな仕事就いてんだろうね、私たち。働きたくないし、ラクしたいな~。」
好きな職業でも仕事内容の中には嫌なものもあるだろうし、それこそフリーランスなら好きなことばかりやっているにしても収入に波があったり、固定の月給が約束されている会社員が羨ましいときもあるだろう。体調管理が難しかったり休みの予定が人と合わせにくい、夜勤や土日勤務が不規則にくる仕事もある。
「わしのポリシー、友達百人できるかなだから。」
卓斗みたいな。人といるのが好きなタイプもいる。卓斗の中でも付き合いの深い浅いはあるようで、深い人とは深い良さ、浅い人とも浅いなりの良さを楽しめるらしい。僕が浅いのか深いのかそれは卓斗のみぞ知るだけれど、たまに連絡を取ったり、映画を観に行くことはあるけど、いつも人付き合いに忙しそうだ。
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