卒業

@131028

卒業

十三回に一度、僕の左耳の前辺りの脈には、鈍い痛みが混ざる。これはきっと偏頭痛。細い雨の中、きこきこ、じゃりじゃりと家に向かう。古い友との別れはやはり、少しノスタルジックな気持ちになる。別れ、と言っても転校するだけだ。いくら田舎といえど、東京まで三時間もあればいける。だから、都会へでていってしまう友を、涙と共に見送ることはしなかった。

手紙、素敵なものだ。紙、たかが紙だが、そこに気持ちが乗る。ぴん、と張らせて鉛筆を落とせば穴が空く弱い物質なのに、穴なんかでは弱まらない気持ちが乗る、まぁなんとも不思議な物質である。独り読み返す、友からの手紙を。友、ずっと共にいたわけではない。なにかと関わりはあった。ふとしたときに側にいた。だが親友、や、心友、と呼べるほどの仲ではなかった、と僕は思っている。それでも感傷的になるのだ。愛しい親友との別れ、考えるのも嫌になる。齡十五、別れの歳。田舎特有の、小学校から、古きは保育園からの友、一学年50人にもみたない狭く深い関係。ぬるま湯、そこからでなければならない。未知の世界に、自分で道をみつけて行かねばならない。

痛みはいつしかなくなった、別の傷みが僕をかじりだしたが。

後半年、ひとつの別れにしじゅうくの別れを重ねた長月。


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