既に彼女は変わり果て、
前回のあらすじ
不憫ヒロインに彼氏が出来たよ!
「ムラムラします」
変態だったよ!
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
人気者の彼女と、底辺の自分。
そんな関係を自覚した時、俺は新しい性癖の扉を開いてしまった。
誰もが見惚れる美しい月が愛しているのは、一匹のスッポン。
その事実に堪らなく興奮する。
例えるなら、
レベル99の女勇者がレベル1桁のゴブリンに負ける様な、『それはもうギャグじゃないのか?』と言いたくなる絵面だが、ビジュアルがもうエロいのでオカズにするしかないよね!
という心持ちである。
この
放課後、誰も居なくなった文芸部の部室で、二人で過ごせない事を申し訳なさそうに謝る
「大丈夫、どんな状況になったって、俺はユウを愛してる」
俺の言葉に目を見開いて、彼女は嬉しそうに微笑み、
「うんっ! 私もカオル君が大好き!」
俺を抱きしめ返した。
「でも俺達の関係は卒業まで隠しとこうね」
多分、バレたら俺は無事じゃ済まない。
「それは本当にごめんなさい……!」
理解のある彼女を持てて俺は幸せ者だよ。
そうして抱き合ったまま、しばらく時間が過ぎる。
いつしか、二人ともが変な気持ちになっていた。
分かりやすく言えばムラっとしていた。
当然ながら、おっぱじめた。
文芸部の机の上で。
すごく興奮した。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
そして、その様子を
コイツからすれば、さぞショッキングな光景だった事だろう。
やや疎遠気味になったとはいえ、まだ自分に気があるだろうと信じていた幼馴染みの美少女が別の男に抱かれてるのを目撃してしまう。
……ちょっとムラっとすイカーーーン!
危ない危ない、最近性欲に正直になりすぎる傾向がある。
自重しなければ。
東野の様子から察するに、コイツは五代とスケベしていた相手が俺だとは気付いていない。
このまま話を誘導して、有耶無耶にしなければ……!
彼女と俺が付き合っているという事実を知られる訳にはいかない。
二人の平穏な学校生活の為。
恋人であるユウの名誉の為。
そして、
何よりも俺の身の安全の為にも……っ!
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「……なあ、聞いてる?」
決意を新たにしている俺の耳に、東野の咎めるような声が届く。
どうやら俺が考え事をしている間にも、色々と喋っていたらしい。
全然聞いていなかった俺はとりあえず、
「ああ、聞いてる聞いてる」
適当に誤魔化す事にした。
「今まで散々悪い事してきたくせに、いざ戦うことになった途端なつき度で進化するモンスター出してきて、実は良い人感を出してくる悪の組織のキャラが嫌いって話だろ?」
「いや、全然ちがうけど」
誤魔化せなかった。
「本当にオレの話聞いてた?」
「ちゃんと聞いてるって」
「世界観的に居るわけが無いのに雑にゴブリンを竿役にする二次創作のエロ同人は萎えるって話な?」
「な? じゃねぇよ! 全然違うし!」
畳み掛ける事にする。
「じゃあ、アレだろ?」
「ちゃんとメスも居るのに、フレーバーテキストと見た目のせいで女性キャラに催眠掛けてエッチな事する話ばっかり作られるス○ープが可哀想って話」
「俺もそう思うよ」
自分に出来る精一杯の優しい笑顔で語る俺に、
「聞いてないなら聞いてないって言えよぉぉぉぉっ!」
東野は発狂していた。
ポケ○ンの話と、
エロ同人の話と、
ポケ○ンのエロ同人の話はお気に召さなかったらしい。
あー、楽しっ。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「それで?」
東野から冷静な思考を奪う為と、ついでにおちょくる為に適当こいてた俺は、もういいだろうと話を戻す。
「五代が『知らない男』に抱かれてたのを見た、『五代の彼氏でも何でもない』オマエは、その後一体どうしたんだっけ?」
「やっぱり聞いてないじゃないか……、っていうか何か言葉にトゲがあるし……」
ぶつくさ言いながら、東野は話し始める。
「別に、お前の言う通りオレはユウの彼氏でも何でもないし、ユウがオレの知らない誰かと関係を持とうと何の関係も無いし……」
ぶちぶちと呟く東野。
負け犬の遠吠えにしても鬱陶しいな。
「オマエの文句はどうでもいいんだよ、そのシーンを『見た後』、オマエはどうしたのかを聞いてるんだよ俺はっ」
少し語気を強めた俺に、東野は不満そうに口を尖らせて話を続ける。
「ユウが他の男としてるのを見た後、オレは津上会長の居る生徒会室に行ったんだ」
津上会長、
津上ショウコは、この学校の3年で、生徒会長をしている美人の先輩だ。
彼女もまた、東野に対して興味を持っている女子の一人だと、生徒達から見られている。
成る程、五代はもう自分のモノにならないと悟って、別の女の所へ走ったか……。
コイツにとって、五代ユウという少女はその程度の存在だったという訳だ。
俺は少しばかりの苛立ちを込めて東野を睨む。
交際を隠している身であっても、自分の彼女を軽く扱われて不快に思わない訳がない。
そんな俺の様子にも気付かず、東野は話を続ける。
「……それで、生徒会室の前まで来た時に、」
へー、ほー、ふーん。
「また、聞こえてきたんだ……」
えー、何がー?(鼻ほじ)
「女の人の、喘ぎ声が」
……うん?
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