広範囲な腐界隈

 一口にオタクと言っても、様々なジャンルがあるように、腐界に棲みつく方にもそれぞれにきっかけがあると思います。


 しかし、古参の腐女子(男子)であればあるほど、自分が腐であることを開示していない人が多いような気がします。

 今でこそライトな感覚で「オタク」という言葉が広まっていますが、以前は自分がオタクであることがばれると犯罪者に等しい扱いを受けたものです。それについては一部の犯罪者がいわゆるオタク趣味であったことから、マスメディアによって流布された風評被害だと思っています。

 中でも腐界は当時としては特殊な恋愛模様を扱う界隈だっただけに、「腐バレ=社会的な死」みたいな風潮はあったのです。


 かくいう私も、一部の同好の士以外とはそのことについては語ってきませんでした。理解が得られるとも、得ようとも、思わなかったし。

 本来「秘すべき文化」であったはずのBLがここまで認知されるようになったことにも戸惑いを隠せません。

 今もそれはあまり変わっていません。だから、広まって欲しいような欲しくないような面倒くさい葛藤を常に抱えております。


 話がそれました。きっかけ、でしたね。

 初めてBLという言葉を知ったのは、十二歳。実家は漫画・テレビ・ゲームが禁止だったので、遊びに行った友達の家で、彼女のお姉さんに教えてもらいました。

 当時漠然と絵を描いていた私ですが、友達に「BLの同人誌作ろうよ」と誘われ、大学生のお姉さんに参考図書を見せてもらい、衝撃を受けたのです。

 

 それまでも少女漫画などを見せてもらったりはしていたのですが、どうも男女の恋愛はしっくりこない。

 男女が出会って恋をして付き合って結婚して妻になり子供が生まれて母になり、みたいな流れがいまいち受け入れがたい。

 御伽噺にしても、女の子が綺麗なドレスを着て王子に見初められめでたしめでたし、という話も胡散臭いと思っていました。

 つまり、当時の社会通念にあったような「女性の幸せかくあるべき」という話には全く共感が出来ないし、食指も動かなかったわけです。


 それについては家庭や生育環境も大いに関係してくると思うのですが、ここで詳しいことは割愛しておきます。(興味がある方は鳥尾巻のコレクションの中に実家事情や変態遭遇エッセイがあるので、自力で探して読んでください←不親切)

 ざっくり言うと、小学校に上がったくらいの頃から、成人男性に頻繁につけ回されたり、拉致られかけたり、いろいろあって薄っすら男性嫌いなところもあったのです。

 そういう人たちは抵抗出来なさそうな対象を選びます。私の性格は全然大人しくないのですが、顔は大人しく見られがちで、搾取しやすいように見えたのでしょう。

 幸いなことに周りの常識的な大人に助けられたので、酷いトラウマは残らずに済みました。

 母親はフリーダムすぎる婿養子(父)と子供を養えるくらい稼いでいたし、結婚観もまた当時の世間とは違うものだったと思います。


 まあ、そんな十二歳が、がっつり男性同士の恋愛ものを初めて見たのです。そこにある友情以上の熱い気持ちや、性別や社会通念を超えたところにある自由で対等な関係性というものに心惹かれました。

 男女の恋愛ものは苦手でも、自分ごとでない性別同士の熱い交流を遠くから眺める感じです。

 それまで触れてきた文学作品や少年たちの活躍が描かれた児童書に、なんらかの萌芽ほうがを感じ続けていたことが、一気に腑に落ちた瞬間でした。


 なんというか、浅瀬から恐る恐る入る感じではなくて、いきなり沼に突き落とされたような衝撃でした。



 ……と。

 ここまで読んでくださった皆様、ありがとうございます。二話目で突っ込みづらい面倒な話を散々して、読者をふるい落とす手法ですピヨ。(面倒くさ・笑)


 ご質問等あれば、コメント欄に書いていただければ、私に分かる範疇でお答えします。

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