2月14日

まきしょーの彼女話に当てられたのか、いつもより前向きな気分になっている。

電車を乗り継ぎ、1時間に1本しか無いバスに乗り、花束と線香を手に会いに行く。

遠く遠く天国へ引っ越した彼女の元へ。


彼女の墓の前には既に花束が置いてあった。

おそらく彼女の親御さんだろう。

今は午後2時だから、午前中に来たのだろうか。

今年で何回忌だったかな…

お墓に水を撒き、線香を立てる。

手を合わせ、目を瞑り、心の中で話しかける。


友達に彼女が出来たよ。すごく楽しそうだ。

俺は…まだ全然要らなくて…

でも話を聞くと恋っていいなとも思ったよ。

君が交通事故で死んでしまってから、大事な人を作ることが怖くなってるのかもしれない。

君が生きてる時にはこんなこと言えなかったな。

大人になって少しずつ素直になってきてる気がする。

俺はまた恋しても…


一度目を開ける。

恋したかったのか、自分。

「もういいのかな」

相手なんて思い浮かばない。なんで、そんなこと思ったんだ。


お墓の前で話す事で彼女に話が届いてるかどうかは実際分からない。

鏡のように反射して自分へ言葉が戻ってきた気がした。


昔読んだ漫画では、亡くなった人は既にその人の心の一部になると書いてあった。

きっと君ももう俺の心の一部なんだな。

次に進もうと思える一部になってるのかな。


俺は泣いていた。

悲しみじゃ無い。外気に反して暖かい涙が出ていた。

君が本当に好きだった。

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