第24話 せせらぎ会の終焉

【1】介護の現場の闇


 大阪市内にある介護施設「せせらぎ会」。

 表向きは地域密着型の老人ホームとして知られているが、裏では職員の過酷な労働、利用者へのいい加減な対応が蔓延していた。


 派遣職員の田中翔太(27歳)は、この施設に半年間勤務していた。

 彼はすぐに現場の酷さに気づいた。


「食事は手抜き、清掃も雑。利用者が転倒しても報告が遅れる。しかも、上司は改善どころか、隠蔽に必死だ」



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【2】見えない叫び


 田中は何度も上司に訴えたが、全て無視された。

 同僚も疲れ切り、あきらめの色が濃くなる一方。


 ある日、重度認知症の高齢女性が転倒し骨折。

 しかし事故報告は遅れ、家族には事実が伏せられた。


 田中は怒りが爆発し、施設内の不正をSNSに投稿した。

 だが、すぐに上層部から圧力がかかり、田中は「契約更新しない」と言われた。



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【3】切り捨てられる


「ここにいても意味がない」


 田中はそう呟き、せせらぎ会を辞めた。

 彼の後任には、また別の派遣社員が入った。


 しかし、田中の告発は関係者の耳に入り、介護施設の監査が始まった。

 劣悪な環境、隠蔽体質は行政の調査で明るみに出て、せせらぎ会は介護報酬の大幅な減額、指定取り消しの危機に追い込まれる。



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 【4】施設の終わり


 「もう終わりだ、せせらぎ会」


 ある日の夕方、せせらぎ会の責任者は震える声で言った。

 かつての威勢はなく、ただ消えゆく運命を受け入れていた。



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【5】希望の光


 一方、田中は新しい介護施設で、心から利用者のことを考える職場を見つけていた。

 過去の苦い経験を胸に、彼は自分の使命を再確認していた。



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 エピローグ


 せせらぎ会は閉鎖され、地域には新たな介護の風が吹いた。

 問題を告発した者は切り捨てられたが、彼の行動が社会の意識を変えたのだ。



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