噛み付くのが最強の愛情表現

学校では少し暗くてミステリアスな空気を纏ってはいたが至って普通の教師って感じだった。

授業中は真面目に授業を進めては、余った時間の雑学タイムとなると無邪気な子供のようにキラキラと目を輝かして話し始める。普通にいい先生だった…そんな印象だった。


今は違う。まるで獲物を喰らう“獣”のようだ。


ずっと抑えてた欲望を解放したのだ。


誠の唇には少し血が滲んでいる。直人が激しくキスし過ぎたのであろう。歯が当たったのだ。


誠の首筋に直人は歯を立て噛み付くように咥える。


「いっ…」


誠は一瞬は痛そうに顔を歪めるが、嫌ではないようで、むしろ気持ちよさそうに笑う。


あの興味深い話を思い出して…


「…なお…と…」


誠が名を呼ぶと、彼はそれを止めるように誠の口の中に親指を入れた。


『“先生”って…言ってよ今だけは…』


「へん…へぇ…」


『んふっ…その方が興奮しないか⁇』


直人はそう言い不適な笑みを誠に向ける。


誠も応えるように笑い、つい彼の親指を噛む。


『痛っ…』


誠は直人の腕を掴んで口から離す。


「口に指なんか入れるからじゃん?それに噛むのは愛情表現なんじゃないの?せ〜んせい⁇」


そう言われて、直人はやっぱあの雑学タイムを彼は熱心に聞いてくれていまだに覚えていてくれたんだと嬉しくなって、かつての“生徒”と戯れるように抱きつく。


「先生…あのね…噛んでください、好きなだけ…愛情表現を教えてください…」


『痛過ぎたら、ちゃんと止めろよ⁇』


「先生になら、いくら痛くても平気…」


『だーめ…ちゃんと痛いって言って…好きなんだから、大事にしたい…』


「俺も先生が好き…今気づいた…」


先生が去っていったあの日に自分の気持ちにも気づけなかった。遅い…


『俺の方が先…でも今だから許される…』


2人は互いに飢えた獣のように貪るようにキスを続ける…


もう教師と生徒じゃないから、好きなだけ交われる…

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