テストの話
テストの時期がやってきた。
まぁまぁ優しい学校で、もし赤点取っても進級できないとかなく、再テストで許してくれる感じだったことを覚えている。
それに内容も優しいので受けた授業のノートをしっかり取ってれば、見返して復習すれば普通に良い点が取れる。俺は別に頭が悪くもなく勉強も好きな方なので平均よりは上を取れる。しかし周りは真面目で頭いい奴が多すぎるため順位的には下になってしまうってレベルだ。まぁ順位に興味はないので気にはしてない。普通に受けるのみ…
親だって俺のテストの点数なんて興味ないので頑張らなくちゃって気もなかった。でも負けず嫌いではあるので平均よりは上にいったると言うやる気だけは何故かあった。“普通”が嫌だったのかもな…名前も“普通”すぎるし…
テストが終わってしばらくして、結果が出た頃合いの時、廊下を歩いていると…
「おーい田中‼︎すごいぞお前‼︎」
名前を急に呼ばれて振り返ると、影山先生が笑顔で手を振りながらこちらに駆け寄ってきていた。廊下は走っちゃいけないというのに教師が走ってるので、流石の変人っぷりだと思った。
と言うかちゃんと名前と顔を覚えてくれてたんだと感動。よく仲田(なかだ)君と他の教師には間違われることばっかで、彼も俺と間違われると「あいつと間違えるな‼︎」ってやたらキレられ、俺は傷付いてばかりだ。なんかした覚えは全くないが、俺が気に入らないらしい。
「お前すごいぞ〜全校生徒誰も答えられなかった問題、田中だけが唯一回答してあったし、しかも正解してたぞ‼︎」
『え⁉︎マジすか⁇やったー♪で、点数は⁇』
「点数は平均…」
『って…じゃあみんなより高得点とかじゃないのかよ〜…』
まだテスト返される日が来る前に飛んだネタバレを食らった…
みんながわからなかった答えを当てたのに、他の問題は間違ってたみたいだ。
しかしすごい事には変わりなかったからいい…
「ちなみに、何の問題すか⁇」
そう聞くと先生は嬉しそうに
『動物の愛情表現についての問題…』
そう答えながら、少し落胆している俺の頭をポンポンと撫でる。
俺は思わずビクッとした。親からは怒られてぶたれたりとかばかりだから身体が一瞬反応してしまったから…でもすぐ、何だかとても嬉しいなって気持ちも溢れてきた。
『俺の話…唯一聞いててくれたんだな…ありがとう。』
先生にそう言われて俺は嬉しかった。褒められたことなんて初めてのようにも感じて余計に…
その彼の微笑みを見た時からかもしれない。
俺の中で先生が特別な人に想い始めたのは…
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