不気味なトンネルの先

大地ノコ

不思議なトンネルの先

 少年は、ただ呆然としていた。トンネルの中に吸い込まれそうな、そんな錯覚に見舞われながら、ただ呆然としていた。

『このゲームに負けた奴、不思議トンネルくぐれよな』

 森山くんの言葉が脳裏に響く。小学生ならではの、幼稚な言葉。

 でも、こんなところなんだったら、【肝試し】なんて遊び、断ればよかった。後悔しても、もう遅い。

 獣道を抜けた先、不自然にそこから先だけ舗装されたアスファルトに、先も見えないトンネル。

 不気味、それ以外の感情を見つけることが出来ない。

 身体を震わせながら、1歩後ずさる。それと同時にプップーとクラクションが鳴った。

 震えが止まらなかった。この車は、あの獣道を通ったのだろうか……。一体、何のために?運転手の姿は、暗くて見えなかった。

 車がトンネルに向かって突き進む。車体が、全てトンネルに入る……と同時に、ライトが消えた。ぷつり、と消えた。

 車がライトを消したわけではない。車が消えたのだ。

 心臓が飛び出そうな程に脈打っている。車が消えた。じゃあ、やっぱり……

【不気味トンネル】トンネル上部にはそう書かれていた。不思議トンネルはここより先にあるらしい。俺が先導、そう言いながらこのトンネルに入った森山くんは…………

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不気味なトンネルの先 大地ノコ @tsutinokodayo

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