犬歯磨き

脳病院 転職斎

第1話

22歳の頃、

自衛官だった俺は、演習の後に上官達と銭湯(演習場内)に向かった。


湯船に浸かって演習の疲れを癒した自分達は、歯磨きをするために椅子に腰掛けた。


そして、俺も歯ブラシを手に持ち、歯磨き粉を開けた。


その時のことだった。


!!!


歯磨き粉が茶色なのである。


それを見た上官は声を掛けた。


「おめぇの歯磨き粉、腐っちょるんじゃねーの?」


言われてみると確かにそうだ。普通、歯磨き粉は緑色なのだから。


「これ、腐ってるんでしょうかね?しかし歯磨き粉って腐るんでしょうか?」


知らんっちゃ、普通は腐らんけん。とりあえずその歯磨き粉見せてみろ!


上官に言われたので、俺は歯磨き粉を手渡した。


その3秒後、上官は俺の頭を叩いて、こう言った。


「のう、ワタル。この歯磨き粉、犬猫用ささみフレーバーっち書いちょるぞ。」


しまった!


俺は思い出した。


この歯磨き粉は、俺が歯磨き粉代をケチって実家からパクった歯磨き粉だった。それを、間違えて愛犬チョコの歯磨き粉を持っていってたのだった。


次の日から、俺の渾名は「犬歯磨き」となった。

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犬歯磨き 脳病院 転職斎 @wataruze

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