8、ずるい友だち

 私の友だちはずるい。

 明るくて、可愛くて、頭が良くて、スポーツ万能。

 まさに完璧な女子高生だ。


 対して私は、顔も頭も運動も普通。

 性格も根暗で、人との会話が苦手な人間。

 だから私は彼女が羨ましくてしょうがなかった。


 ある日の放課後。

 私は教室で彼女から相談を受けていた。

「明日の大会が怖いの。いよいよ本番だと思うと、緊張と不安が抑えられなくて……」

 私の対面に座り、机の上に両腕を置いている彼女。

 その腕はプルプルと震え、顔も青白くなっていた。

 そんな彼女に私は言った。

「大丈夫だよ。だって、毎日放課後に残って練習してたもん。努力してるのをちゃんと私は見てたし、私が保証するから」

 すると彼女は、

「ありがと。でもまだ不安なの……。だからね……、ぎゅってして?」

 と、小動物のように甘えてきた。

「はいはい」

 私は椅子から立ち上がり、彼女の横へ移動。

 そしてその小さな体をそっと抱きしめた。

 本当に、私の友だちはずるい。

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