4、夏空とギター
「うーん……」
「お疲れ。またお昼も食べずにやってるの?」
青が広がる夏空の下。私は学校の屋上のベンチに座る幼馴染に、おにぎりとペットボトルのお茶が入った袋を渡す。
「あはは、いつもありがと」
「空腹と暑さで倒れられたら迷惑だからね」
「ごもっとも」
そうは言うが、私が差し入れに行かないと彼は食事を取ろうとしない。
「ところで、なんでずっとギターの練習なんかしてるの?」
言いながら彼の隣に座る。
「うーん……告白するため、かな?」
「好きな人がいるの?」
「お恥ずかしながら」
あっさりと答えつつも彼は頭を掻いた。
「どんな人なの?」
「優しくて素敵な人だよ」
「へぇー、内面重視なんだ」
私は意外だと言わんばかりに笑う。
彼は「失礼だな」と言っているが。
「で、いつ告白すんの?」
「え? いやぁ……」
「もう、勿体ぶらないでよー」
勿体ぶる彼に、私は肘で小突いた。
「……明日のお昼」
「おぉ、早いね」
「うん。……だから明日も絶対に来てね」
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