第十章 終わらない都市伝説2

その後、数人の若者が夜中に訪れ、自販機から缶を買った。

缶に手をかけると、冷気が指先にまとわりつく。

そして取り出した缶のラベルには、それぞれが忘れたはずの過去の記憶が映っていた。


「……やっぱり、吸い込まれるのか」

若者の一人が息を詰める。

中には、口にせずに置き去りにする者もいたが、どれも決して元には戻らなかった。


町では今も、“赤い自販機”の噂が語り継がれる。

誰も補充しないのに、缶は落ち続け、記憶は人々を呼び寄せる。

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