序章 都市伝説としての噂2

TikTokやYouTubeに投稿された短い映像には、古びた自販機が映し出され、取り出し口から音を立てて缶が落ちてくる様子が記録されている。

コメント欄には賛否両論が並んだ。


「ガチでヤバいやつじゃんw」


「親父が昔飲んでた銘柄出てきて泣いた」


「どうせ仕込みだろ」


「夜中に行くと声がするってマジ?」


ネットの海に流れる数多の“怪談”のひとつに過ぎないはずだった。

しかし、この小さな記事と拡散された動画が、のちに取材班を呼び寄せ、数々の不可解な現象を記録する引き金となる。


――当時を振り返って、あるディレクターはこう語っている。


「最初は笑い話にするつもりだったんですよ。

だけど、最初に撮った映像を編集してるとき……あの自販機の後ろに、人影が映ってたんです」

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