『笑い話』

宮本 賢治

※このお話は、『ノイズ』の続きです。

 スマホが振動した。

 着いた。

 それだけのメッセージ。

 カフェを出る。

 駐車場の無いお店。

 路肩で、ゴマ豆腐1号がチカチカしてる。

 一応、助手席に乗り込む。

「お迎え、ありがと♪」

 ダッシュボードをなでなで。

 わたしは、ゴマ豆腐1号にお礼を言った。そして、運転席の片目に問いかける。

「おい、そこのロロノア・ゾロ。

運転できるわけ?」

「できれば、お願いいたします」

 利き目を潰したマヌケなゾロ。右目をつぶったまま言った。

 わたしは勝ち誇り、エラそうに返事する。

「ふむ♪」

 わたしと旦那。

 運転席と助手席交代。

「あ〜、ハンドル遠い!」

 わざとらしく言ってみる。

「お好きなポジでどうぞ」

 神妙に言う旦那に、わたしはニンマリ笑った。

「ふむ♪」

 メッチャ、前に出してやるぜ!

 そして、シートベルトを締める。

「相変わらずの見事なパイスラでございます」

 片目のくせに、おっぱいはチェックする。エロいゾロ。だけど、不快ではない。むしろ、気分いい。

「ふむ♪

くるしゅうない」

 そう言って、わたしはゴマ豆腐1号を発進させた。

 軽快なすべり出し。

「ね、目痛くない?」

「うん。

コンタクト外れただけだから、大丈夫」

「そっか、良かった♪」

 さっき、マフィン食べたのにお腹空いた。

 ケンカすると、お腹空くよね。

 今日はきみの好きな、ミートソースパスタ。腕によりをかけるからね。

「ね、バーンって、わたしがドア閉めていなくなった後、ど〜なったの?」

「もう、大変だったんだぞ···」

 帰り道。

 旦那の悲惨な話。

 わたしは声を出して、笑った。


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『笑い話』 宮本 賢治 @4030965

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