一章・四集『老人と少年』

 肩を打つ冷雨が体温を奪う。

曇天の空を見上げても光は無く、視界の悪い中封離霞フォンリーシアは道無き道を歩き続ける。そんな時、遠くに建物の影が見えた。それは古びた廟宇らしく、周囲に他に建物はなく森が広がるばかりだ。

廟宇は屋根の一部が落ち、恐らくとても立派な人の名が刻まれていたであろう扁額へんがくの文字は、不届き者に削り取られていて読めず、斜めに傾いてしまっている。

封離霞は雨に濡れたまま屋根の下に入ると、その歩みと共に砂埃が巻き上がった。これらの荒れっぷりを見るに、やはり廟祝びょうしゅく(廟の管理人)は既におらず、人が入らなくなってしばらく経っているらしい。座れる所を探し、壁に背を向け膝を抱えて座り込む。

「城主からの慈悲だ」と恩着せがましく持たされた包を広げれば、潰れかけた饅頭まんとうが二つといくらかの俸禄が入っていた。

「………なんなんだ」

饅頭を一つ手に取り、再び下ろす。光の宿らない目からは大粒の涙か、もしくは雨粒が流れ落ちた。声を出さずに唇を噛み、饅頭を持つ手に力を込める。しかしそれも寸前でやめ、饅頭を一口齧った。

その時、

「急に降ってきたなー」

廟宇の出入口付近から大勢の足音が聞こえ、封離霞はビクリと身を震わせた。ただでさえ白い顔が最悪な天気なのも相まってか更に青白くなって、可哀想な程に怯えている。それも当たり前のことだろう、何故なら廟宇に見知らぬ男たちが数人連れ立って入ってきたからだ。

彼らはびしょ濡れで、如何にも浮浪者といった風采ふうさいだ。突然の雨にぶつくさ言いながら服を搾っている。

そんな中、うち一人が封離霞に気が付き、無作法にも指を指した。

「おい、なんかガキがおるぞ」

「ああ?ガキ?…ってなんだ人間か。最近はこの辺りにも妖魔が彷徨うろついてるからなあ。人間は珍しいな」

男らはニヤニヤしながら封離霞に近付く。

確かに、ここは妖魔の住む青寒城と人間の住む古永城との領境から幾分か離れているものの、妖魔が人を攫いにやってくるような場所だ。だが、妖魔は人間より力が強く、ひとたび出会ってしまえば為す術もない。今回いたのが人間だったのはまだ不幸中の幸いだったのかもしれない。

「いやいや、もしかしたら人間のフリをした妖魔かもしれんぞ?」

「確かめればわかることだ。なあお前、返事しろよ。俺たちは心配してやってるんだぜ?」

男はそう下心を隠しきれない様子で近付いて来る。封離霞は返事をせず、慌てて包を背後に隠そうとしたが、それを目敏く見付けた男が大声を上げた。

「そいつ包を隠したぞ!取り上げろ!」

無精髭で、向こう傷のある男が封離霞にゆっくりと歩み寄る。

「なあお前さん、隠してるもん出してみろよ。そうすりゃ痛いことはしないぜ?」

「………っ放っておいてくださ…」

掴みかかられた腕を振りほどこうと身を捩って抵抗する。しかし骨と皮ばかりの少年の力では大の大人には叶わない。

「ったく手間取らせやがって!」

そうして抵抗虚しく殴り飛ばされ、壁に強かに背中を打ち付けた。漏れる悲鳴を噛み殺し、震える手を包の方に伸ばす。

「暴れるから痛い目にあったんでちゅよ〜?さてと、何隠してたんだっ……って!」

包を広げた男が、中を見て下卑た笑みを浮かべる。饅頭には目もくれず、その視線の先には游坎流ユーカンリウが入れておいた俸禄があった。

「す、すげぇ!なんでこんなガキがこんなに!?一ヶ月は遊んで暮らせるぞ!!?」

思わぬ大金に、男たちはたちまち色めき立つ。

「おいお前、なんでお前みたいな汚ぇガキがこんな大金持ってるんだよ?もしかしてアレか?雇い主のところから盗んで逃げ出してきたクチか?」

「違う……っ」

とんだ侮辱に、封離霞は顔を真っ赤にして怒る。そして包を取り返そうと男に飛びかかった。無我夢中の攻撃に、男はよろめく。しかしたかが子供の体当たりだ。あっという間に首根っこを掴んで引き剥がした。

「このガキ!俺らが誰なのか知らねぇようだな!?」

男が苛立ったようにがなり立て、封離霞の胸倉を掴んだ。そして思い切り持ち上げると、可哀想な封離霞の両足は地面から離れ、宙をさ迷うことになった。

「おいおい兄貴、そいつはまだ子供だぜ?とっとと追い出しちまうだけで…」

「うるせぇ!ガキに舐めてかかられちゃあ面目丸潰れだ!俺はなあ、ここいら一体を牛耳ってる丐幇かいほう(乞食どもによる組織)の舵主(支部長)なんだぜ!?お前みたいな生意気なガキには、ちとお灸を据える必要がありそうだなあ?」

封離霞を持ち上げている男が拳を振り上げる。

「は……っ離せ!」

封離霞は目をきつく瞑り、ほんの一瞬だけ呼吸をすると懐に手を入れ冷たい何かに触れる。それは封離霞がまだ青寒城にいた頃、わざと壺を割って手に入れた破片だった。子供の掌より大きく、紙のように薄く、先はダガーのように鋭く尖っている。

封離霞は浅く息をし、それを強く握り締めると思い切り振りかぶった!


「そこまでだ」

その瞬間、時が止まったかのようにその場の全員が静止した。

そして破片が振り下ろされる刹那、一人の影が男たちと封離霞の間に身を滑らせる。その速度は誰も反応できない程に素早く、瞬きにも満たない僅かな時間で男たち全員を掌底を以て蹴散らした!

その人影は、立派な袍衫を着た眉雪びせつ(老人のこと)だった。彼は尻餅をついたままの男たちに向かって、険しい顔で語りかける。

「そなたたちの悪行を全て見ていた。『飲陽会』が、まさか一人の子供を暴力でねじ伏せ、それに加えて無理矢理盗みを働くような人倫にもとる行為をよしとする組織だったとはな。骨を折られたくなくばさっさとここから出て行け!」

その怒号は山を裂く雷鳴のようであり、あまりの気迫に地が轟いたのだと錯覚するほどだった。男たちは抜けた腰を引き摺って廟宇から走って逃げて行った。

「全く、恥を知らぬ忘八ぼうはちどもめ」

眉雪はまだ怒りが収まらないといった様子だ。そんな彼に、封離霞は涙声で恐る恐る話しかける。

「あの…助けてくださってありがとうございました…」

ボソボソと礼を言う封離霞に、眉雪はすぐに怒りを引っ込めて「いいんだよ」と安心させるように快く返事をする。

「さっきの奴らのことはもう心配しなくていい。それより、よく立ち向かったな。自分より何倍も大きな相手に立ち向かうのは、そう誰にでもできるようなことじゃあない」

「………でも、俺…」

封離霞は、悲しげに俯く。そして嫌なものでも思い出すかのように端正な顔を顰めた。眉雪はその頬に殴られたあとを見て、小さな瓶を取り出し封離霞に手渡してあげた。

「これを飲みなさい。痛みが和らぐ」

「………ごめんなさい」

余程人に迷惑をかけたくなかったのだろうかと、眉雪は悲しく思った。この子供はこれまで何度、今のような理不尽に耐えてきたのだろうか。

「はは、気にしなくていい。それはただの丹薬だ。どんな痛みでもたちまち消え去る。もちろん、用法用量は守らなければならないがね」

なんでそんな凄い物を?そう封離霞が口に出す前に、眉雪はそれを察知して悪戯っぽくニヤリと笑う。

「もちろん、伝説に登場するような物じゃあないぞ。それは弟子たちが一生懸命作った試作品で、まだまだ未完成だ。全ての病や怪我は治癒できない。せいぜい治癒速度を早められるくらいだな」

「そう…でしたか……」

「それでも、人の成長は光陰矢の如し。いつの日か瀕死の人間を救える薬ができるかもしれないな」

眉雪は床に広げられたままの包を持ち上げ、埃を払って封離霞に返す。

「ああそうだ、よければだけど…この饅頭を一つくれないかい?」

次の瞬間、彼のお腹が大きく鳴った。


それからは、封離霞にとっては楽しい時間だった。濡れた饅頭をぺろりと食べ終わった眉雪、名を符樓フーロウ、字を符子寛フーヅゥクァンというのだが、彼はどうやら名の知れた修真門派『祥連派』に所属し、何人も弟子を持つ優秀な修真者らしい。どうりで先程の身のこなしは只者では無かったなと、封離霞は納得した。

(まさか、生きているうちに修真者に会えるなんて…。あの妖魔の城主も修真者らしかったけど、こっちの人の方がずっと親切だ…)

もう二度と会うことはないのだから、存分に比べてしまえ。

「ところで君、どうしてこんな廃廟宇にいたんだい?何か用でもあったのかい?」

「いいえ…実は…」

そうして封離霞は、これまでのことを話す。

両親が死に、一人であちこちをさ迷っていたところを妖魔に捕まり奴婢にされたこと、日々虐げられていたこと、そして壺をことで小厮たちと喧嘩になり追い出されてしまったことを詳らかに話した。

符子寛はたどたどしい封離霞の話をウンウン聞いていた。そして全て聞き終わってから初めて口を開いた。

「それは辛い道のりだったね。城主も、身の回りの全員が君にとっての敵だったんだね」

「………」

「だけどね、さっき君が教えてくれた周林ヂィオリンという子は、少なくとも君を助けてくれた。そうだろう?」

「……はい」

封離霞は肯く。

「そして、これも」

符子寛が封離霞の包を広げて見せる。

「この中に入っていた銅銭は、一体いくらか数えてみたかい?」

封離霞は黙って首を横に振る。

「そうだね、ざっと数えて五百文。つまり青寒城から古永城までに使ったとして、まだまだ十分に余るくらいの金額だ」

「…!」

封離霞は絶句する。そんな大金を何故、奴婢としては扱い、果てはゴミのように追放した自分に持たせていたのかがわからなかったのだ。

符子寛は、口を開けて呆けたままの封離霞に向かって続ける。

「これは、私という単なる部外者の揣摩憶測しまおくそくに過ぎないのだがね。きっと君を追い出した城主は、君は妖魔の世界ではなく、人間の世界にいるべきだと思ったんじゃないかな」

「……もしくは、わざと大金を持っていると周囲にわかるように細工でもして…襲われやすいように……」

封離霞も最早、自分が何を言っているのかわからなくなっていた。

これまで矛先を向けていた相手が実は敵ではなかったのかもしれず、矛を向けるに向けられなくなったのだ。無理もない。

「そうかもしれないね。だけど、これはもう君の物だ。好きに使うべきだよ」

そう優しく諭す符子寛を見上げ、封離霞の目にはたちまち涙が溜まった。

彼はこれから何を憎み、何をして生きていけばいいのだろうか。金などに意味は無い。彼は今、自身に『価値』をつけ、それでも手放した憎き妖魔を想って泣いた。

(こんな思いをするくらいなら…いっそ気付かない方がよかった……のに…)

二度と会うつもりは無いし、向こうもすぐに彼を忘れるだろう。

「あの、符子寛さん…」

「なんだい?」

溜めた涙を拭い、震える声を抑えて封離霞が符樓に向き直る。

雨が上がったようだ。

薄暗い廃廟宇の窓から、一筋の陽光が差し込む。

「俺を、祥連派に入れてもらえませんか」

その目は冷たく濡れていようとも、それでも雲の隙間から差す陽のように、澄んだ光が宿っていた。符子寛はその目を見て、真面目な表情を浮かべる。

「…祥連派は、名のある門派だ。もちろん、選抜試験もある。そこで君は、自らの才能と価値を証明しなければならない。試験に落ちてしまえば祥連派を永遠に立ち去るか、もしくは才能ある弟子たちの世話や補助を命じられる」

これまで多くの修真者がこの世に現れ、そして消えていった。修真界は容赦なく資格無き者をよなげてしまう。

「今一度、よく考えてごらん」

符子寛は重苦しい声で話を続ける。

その言葉は冗長とも思えるほど丁寧だったが、封離霞に対して、この先の人生を決める選択を誤らせまいという配慮が滲んでいた。

「苦悩と悔恨に満ちた日々を送る羽目になるかもしれないんだ……。それでも、この道を選ぶのかい?」

符子寛の目が、封離霞を見据える。真っ直ぐで誠実な目に向かって、封離霞は力強く頷いた。

「わかった。それじゃあ決まり。祥連派はきみを歓迎しよう。ひとまず、だけどね」

真面目な雰囲気から一点、パッとその表情は明るくなった。

「二週間後に選抜試験がある。ちょうど入門希望者を募っているところだったんだ。定員に達し次第準備を始めるから、少し早めの開催になるかもしれない」

「集まり次第……?残りの定員数は何人なんですか?」

なるべく早く祥連派に入りたい封離霞がそう聞く。符子寛は「今何人だったかな?」ととぼけた顔で指折り数えて、そして思い出したように顔を上げた。

「残り一人だよ」



​  ​───────​───────​


 その頃。

「えっくしゅん!!!!」

今世紀最大記録のくしゃみをして、游坎流(分神のすがた)は肩を抱いて身震いした。先程まで雨が降っていたせいで気温がかなり下がっていたのだ。

「なんだよ、もっと厚着して来ればよかった…。急に雨が降るなんて思わないだろ。おいノート、お前次からは天気予報してくれよ。スマホないんだから」

『そのような機能はありません。代わりと言ってはなんですが、あなたが昨日食べた荷花酥ニィファースー(蓮の花パイ)の数を報告できます』

「そんなキモい報告要らねぇから記録すんな!せめて他に機能無いのかよ!」

ノート相手にムキになって喋りまくっているが、それも仕方ない。寒すぎて口喧嘩でもしていないと歯がガチガチ鳴ってしまう。

ここは青寒城と古永城との領境の高原。封離霞より遅くに出発したため、まだ彼のいる廃廟宇に着いていない状況だった。

「スマホが恋しい…!特に天気予報とGPS!このまま適当に歩いてると迷子になりそうだ!」

突然の雨に足止めされ余計に苛立っているようだ。自分が何を司る存在なのかをすっかり忘れている。

『早くしないと符子寛が行ってしまいますよ?祥連派に入れなかったらどうするんですか?』

「だって雨でぬかるんでて歩きにくい…。何で分神だと剣で飛べないわけ?他に移動系の妖術はないのか?縮地術とか、踏雲術とか色々あるはずだろ?」

『分神の修為が低いので、妖術の半数は分神の身ではできません。もしお困りのようでしたら、特別に別プランを提案しましょうか?』

「別プラン?それもお前の能力か?そういうのは早く言えって何回も言ってるだろ」

やれやれと首を振る游坎流に、ノートは『だから今言ったんですよ』と心做しかすました声で正論をかました。

『それでは、別プランを提案します。後ろをご覧ください』

「はぁ?」

何事かと游坎流は後ろを向く。背後から一台の馬車がこちらへ向かって走って来ていた。それは真っ直ぐに游坎流に向かって近付いてくる。

游坎流は「まさか…」と呆れた顔でノートを見やった。

『別プランは…ヒッチハイクをする、です』

「やっぱりな…」

何となく察していたことが事実になり、がっくりと肩を落とす。長年引きこもってゲームしたり小説書いてたのにいきなり初対面の人と相乗りか。人生経験になって案外いいかも…と思い込むことにした。

「おーい、止まってー!」

道に飛び出し、大きく手を振る。

御者は游坎流の姿を見付けたようで、停車した。

「どうした?」

「旦那様、子供が…」

暖簾の向こうから、一人の男が顔を出す。

白髪混じりの髭をたくわえた裕福そうな男だ。乗っている馬車は古いながらも屋根のあるしっかりした造りの軒車けんしゃ(地位の高い人が乗るもの)だし、恐らく富賈ふこ(豪商)か貴族だろう。

游坎流は作り笑いを浮かべながら馬車を指さして「少しの間だけでも乗せて貰えませんか?次の辻までで結構ですので」と可愛こぶって頼んでみた。かなり無理がある。

地位の高い人間は、基本二通りに分けられる。

親切な者と、親切ではない者だ。幸い、この男は前者だった。

「いいよいいよ。乗りなさい。足元に気を付けて」

「ありがとうございます」

靴の泥を落としながら馬車に乗り込むと、車内には先程顔を出した男と、その従者らしき若者が座っていた。甘さ控えめな香がふんだんに焚かれ、泥臭さは一瞬で掻き消される。

馬車が出発した。

「それにしても、子共が一人でどうしてこんな場所に?この近くには妖魔の巣窟がある。一人で彷徨くのは危険だよ」

想定内の質問だ。

「え、えーっと、母の薬を買いに古永城へ行く途中だったんです。家の近くには売っていなくて…。おじさんは…古永城へ向かうんですか?」

一旦舌を噛んで涙目になってから、取って付けたような悲壮感を演出して同情を買いやすい理由をでっち上げる。幸い男は納得してくれたようだ。

「大変だったんだね…」

通りすがりの素性もしれぬ子供にも、随分と慇懃いんぎんな態度で接してきた。

「私は商人でね。目を付けていた商品が古永城に届いたらしいから、買い付けにいく予定なんだ。なるべく安く買える場所へ行く、これぞ商人の基本さ」

「商人……。あの、乗せてもらう分の運賃はちゃんと支払います。貯めたお金があるので。これでお願いします」

游坎流は袍を漁って、予め持ってきておいた袋を取り出し、そこから適当にそれらしい数の銀を掬った。富賈の男と従者は袋の中と、その袋から取り出された金額を見て驚いたように目を剥く。

「だ、旦那様、小童にこんな大金を払わせるのは…」

「…あ、ああ。もちろん、そんなに払う必要はないよ」

従者に小声でいさめられ、富賈の男は慌てて銀を持った手を下げさせる。

「これは、母親の薬のためのお金なんだろう?いくら申し訳なくてもこんなに支払うことはない。取っておきなさい」

「そうですか…?ありがとうございます(ラッキー)」

一度払う姿勢は見せたし、向こうが要らないってんなら無理矢理払うのは逆に失礼だろう!素直に銀を仕舞い、そしてふと封離霞を追い出す直前の出来事を思い出して内心首を傾げる。

この富賈らの反応からして、もしかしたら自分が考えているお金の相場とこの世界の相場は違うのかもしれない。

(うーん、この世界の運賃っていくらするんだ?勉強のために聞いておくべきか?聞くは一瞬の恥というし…。あー無理。やっぱこっちから話せん。はぁ、電子マネーが恋しい…)

昔の金の価値なんてよくわからないからと、設定を後回しにしたのが裏目に出たようだ。ノートが勝手に補完してやがる。

(そういえば…封離霞に持たせた銅銭って、一体いくらだったんだ?)

適当に掴み取った分を渡したからわからない。封離霞が去った今、游坎流には知る由もないのだった。

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